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ジョン・ルイス プレリュードとフーガ

 このブログを公開して、1年がたつ。良いと感じた、音楽・本・映画などの作品について気ままに記してきた。1日1つのペースで何かをアップしていくということは、時に楽しく、時に苦しいことではあったが、多くの作品について自分なりに考えをめぐらすよいきっかけとなった。

 さて、この1年の締めくくりとして、ジョン・ルイスのプレリュードとフーガを掲げたい。バッハの平均律クラヴィーア曲集を、ジャズの名手ジョン・ルイスがアレンジしたものだ。プレリュードはルイスのピアノ・ソロで、フーガは、ヴァイオリン、ヴィオラ、ギター、バスを交えて演奏されている。
 ハイ・センスなニュアンスに富むソロ、ストリングスとの絶妙なやりとりが楽しめる、極上の1枚。

 このブログも、ルイスによるバッハのアレンジのように、先人の偉業に敬意を表しつつ、遊びごころを失なわず、生きる喜びを感じられる内容を保ちたい。

 それにしても、世の中には素晴らしいものがなんと多いことだろう!

プレリュードとフーガ Vol.1
ジョン・ルイス マーク・ジョンソン ジョエル・レスター
B000023Y5I

信長(8)

 池上遼一の「信長」第8巻は、しばらく出版されず、幻の巻であった。背景資料の著作権の問題があったと言われている。2004年に、ようやくこの問題が解決され、出版されるに至った。武将の面構えも見事だが、安土城、障壁画など、背景も素晴らしい。一ページ一ページが鑑賞に値する入魂の大作。

信長 8 夢幻の巻
工藤 かずや 池上 遼一
4840109273

信長(6)

 池上遼一の描く「信長」は、当時の合戦の様子を、躍動感溢れる筆致で眼前に展開してくれる。特に、6巻に描かれる、武田軍との長篠の戦いは凄い。馬防柵に突撃する武田の精鋭騎馬部隊と、織田の鉄砲隊との戦いの迫力に息をのんだ。
 まさに、現代に披瀝された戦国絵巻である。

信長 6 怒濤の巻
工藤 かずや 池上 遼一
484010915X

信長

 大学1年生の時、目白の椿山荘で初めてのアルバイトをした。庭園の一角に張られた幕の内側で、接待に出された茶菓の器を洗う仕事であった。そのアルバイトで、当時、東京芸術大学の学生であったNさんに出会った。休憩時にタバコを吸うNさんの姿に大人の趣を感じたものだった。
 翌年正月、Nさんから下宿に年賀状が届いた。なまはげの版画が添えてあった。年賀状の住所を頼りに、Nさんの練馬の下宿を訪ねた。自活をしながら絵の道を志しているNさんの姿勢には感銘を受けた。

 大学を卒業して数年後、福井県にNさんを訪ねた。結婚して、3児の父となっておられた。そのNさんの部屋にあったのが、池上遼一の「信長」であった。
 デザインの会社を友人たちと起こしたNさんが、この「信長」をたいへん評価していた。一読して、絵の緻密さに目を見張った。

 翌日、Nさんの家族と、朝倉氏の居城があった一乗谷に出かけた。前日読んだ「信長」の朝倉氏の章が鮮明に残っていたため、たいへんに興味深かった。朝倉氏が栄華を誇り、小京都と呼ばれた史跡を散策し、独特の感興を味わった。

 最近、十数年ぶりに、この「信長」と出会い、全巻を読み終えた。あらためて絵の緻密さ、凄さに感じ入った。武将の面構えのなんと見事なことか。クールで知的な信長のかっこいいこと。
 同時に、Nさんの暖かいお人柄が思いおこされた。様々に感慨深い劇画である。

信長 1 黎明の巻
工藤 かずや 池上 遼一
484010493X

ショパン バラード・スケルツォ

 アシュケナージのピアノによる、ショパンのバラード第1番から第4番、スケルツォ第1番から第4番の演奏が収められたCD。
 バラード第1番は若きショパンの激しい情感と美しい抒情に溢れている。アシュケナージの磨き上げられたテクニックと明瞭なタッチで奏でられる名曲に、最初からすっかり魅せられてしまった。
 鋭いリズム動機と微妙な感情の揺れがないまぜになった4曲のスケルツォも、スケールが大きく極めて充実した演奏。

ショパン:4つのバラード
アシュケナージ(ウラディーミル) ショパン
B000091LCZ

ショパン ピアノ協奏曲第2番

 アルゲリッチの弾く、ショパンピアノ協奏曲第2番を聴く。ワシントン・ナショナル交響楽団、指揮ロストロポーヴィチ指揮。 深みのあるオーケストラと、華やかなアルゲリッチのピアノが和した好演。 併録されているスケルツォ第2番、ポロネーズ第7番、マズルカ第36、37、38番もみずみずしい演奏。

ショパン:ピアノ協奏曲第2番
アルゲリッチ(マルタ) ワシントン・ナショナル交響楽団B00005FJLI

ミケンランジェリ ドビュッシー前奏曲集

 透明感と響きの美しさを極めた演奏。一切の飾りを排した、研ぎ澄まされた簡潔性ゆえに、ドビュッシーの美質が浮き上がる。孤高のピアニスト、ミケランジェリ畢生の芸術。

ドビュッシー:前奏曲集第1巻
ミケランジェリ(アルトゥーロ・ベネデッティ) ドビュッシー
B00006BGT5

夏への扉

 タイムマシンをモチーフにした、抒情的なSF。読後感がたいへん良い。夏の一服の清涼剤となるのでは。

夏への扉
ロバート・A・ハインライン
4150103453

天上の青

 曾野綾子の小説、天上の青。次々と女性を誘い、殺してゆく男。しかし、一人の女性だけには、夏の朝顔のように清々しい心を開いてゆく。文学の凄みを感じる書。

天上の青〈上〉
曽野 綾子
4101146284

オーケストラの少女

 1937年に制作されたアメリカ映画。公開当時日本は日中戦争のさなかであった。この時代に、これほど優れた作品が制作されることに、アメリカのという国の底力を感じた。脚本が実によく練られていると思った。今見ても最初から最後までずっと楽しめる。
 ストコフスキー本人が出演し、演奏を披露している。冒頭のチャイコフスキー交響曲第5番の演奏から釘付けになった。ディアナ・ダービンの歌声も素晴らしい。
 タクシー運転手と少女との会話から、当時の奥行きのある豊かさが伺える。貧しい中にも、精神的な豊かさとは何かを皆が知っていた時代ではないか。

オーケストラの少女
ヘンリー・コスター ディアナ・ダービン アドルフ・マンジュー
B000C98COA

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