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プラネテス 9

 アニメ「プラネテス」のDVD最終巻。幸村誠の原作も素晴しいが、原作をここまでふくらませ、緻密な表現をした谷口悟朗監督をはじめとするスタッフの熱意が伝わる作品であった。特に、大河内一楼による構成のうまさには感服した。
 SFアニメ史に名を留めるべき名作。

プラネテス 9 [DVD]
千羽由利子
B0002X7JCM

坂の上の雲

 「まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。」

 NHKの大河ドラマ「坂の上の雲」がついに放送された。
 原作は、明治維新から日露戦争までの日本と日本人を描いた、司馬遼太郎が40歳代のほとんどすべてを費やして執筆した小説である。映像化するのは不可能と言われていた。自分も一読後、この書のスケールの大きさは映像にするのは難しいだろうし、なまじしても、ひどく小さな形になってしまうのではと感じた。しかし、多くの人が映像化への情熱を抱き続け、その実現は「日本映像界の悲願」とまで言われた。

 第1話では、松山での秋山兄弟と正岡子規の子供時代、そして青年期を迎えて東京に学ぶまでが描かれる。さすがに、あだおろそかに出来ないというスタッフの姿勢が伝わる、丁寧な作りであった。
 特に、秋山真之が新橋駅に降り、街を歩くシーンは、馬車や路面電車が行き交う明治の賑わいが再現された、並々ならぬ意欲がみなぎる映像であった。

 明治のおおらかな気風の中、とまどいながらも前を見つめ、歩んでいく若者の姿は、小さな国が外の世界と徐々に関わる様を象徴するかのようであった。

NHK 「坂の上の雲」

NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 第1部 DVD BOX
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坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
4167105764

九ちゃんの歌

 放送文化が広がりを見せた時代、坂本九の歌は多くの人に愛された。
 明るさと、前向きさと、初々しさ。日本が未来を信じていた時代の、素朴で愛らしい歌の数々。

九ちゃんの歌
坂本九
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楽毅 四

 宮城谷昌光の小説は、話が進むにつれて深みが増していく。

 「楽毅」は2200年以上前の話であり、資料も少ないであろうに、そこに描かれる人々は実に生き生きとしている。ことに主人公は、まるで筆者に乗り移ったかのように語り、行動する。幾多の戦や遍歴を辿る中で、その精神は研ぎ澄まされ、戦略は神妙さを増していく。
 主人公の精神の在りようが深まりを持ち、それを基にしているがゆえに、弱小国が大国を窮地に陥れる神業ともいえる戦に合点がいくのである。
 苛烈な世に、「楽毅」はひときわ光輝を放つ生き様を示している。今の世でもひとつの指針となりえる名著。 

楽毅(四) (新潮文庫)
宮城谷昌光

楽毅 三

 滅び行く小国を必死で支える楽毅の姿には、深い感動をおぼえる。
 「隗より始めよ」で知られる燕の郭隗との邂逅、国の興亡、趙の変事など、多くの転機が描かれる第三巻。

楽毅(三) (新潮文庫)宮城谷昌光

楽毅 二

 趙の武霊王の執拗な侵略を受け、中山国は滅亡の際に立たされる。中山国の臣、楽毅は、暗愚な君主に疎まれながらも故国を救う方法を模索する。
 歴史の奔流に飲み込まれる国に凛と立つ人物を描き、秋冷な筆色の中に深みをたたえた「楽毅」第二巻。

楽毅(二)(新潮文庫)
宮城谷昌光

隠し砦の三悪人

 「隠し砦の三悪人」は、1958年公開の、黒澤明監督による映画。戦国時代、敵陣地となった隠し砦からの逃走を描く作品だが、次々とピンチを切り抜けるシナリオを基に、迫力ある映像が展開される。
 三船敏郎の体当たりの演技が、この上ない躍動感を与えている。凛とした雪姫には、今の女優には見いだせない個性を感じる。
 ジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」にも多大な影響を与えた、極上のエンターテイメント映画。

天地人

 NHK大河ドラマ「天地人」が最終回を迎える。お涙頂戴シーンと回想シーン満載のホーム・ドラマ。合戦がほとんど描かれない戦国時代で、盛りあがらないことこの上ない。石田三成があまりに軽くて、直江兼続とのやりとりは、ほとんど学園ドラマ。それでも全話見てしまった。笹野高史演じる豊臣秀吉と松方弘樹の徳川家康が、主人公と対称を極めていたのがちょっとスパイスとなっていたためか。

ぐんま天文台

Gao01  群馬県高山村のぐんま天文台に行く。駐車場から、通常は、木で作られた階段となっている遊歩道で行くのだが、8月1日以来、落石のため通れないとのこと。予算が厳しいのだろう。車道を15分ほど歩いて天文台施設に着く。

Gao02  施設内には、英国の古代遺跡ストーンヘンジや、インドの遺跡ジャンタルマンタルを再現したモニュメントがある。古代の人々が、天体の運行から時を知るための建造物群が立ち並び、独特の景観をなしている。

Gao03  天文台の中には、様々な展示がなされている。太陽望遠鏡がとらえた太陽の姿がスクリーンに投影され、学芸員の方が黒点の様子などを丁寧に説明してくれた。また、口径150cmの反射望遠鏡も見学できる。なかなかの威容である。

Gao04  口径65cmの反射望遠鏡による、天体観測が実施されたが、雲が出てそのままでは見えない。晴れ間を探して望遠鏡がドームと同期して動く様子が見られ、子どもたちは喜んでいた。結局雲が厚くなって観測はできなかった。代わりに、一階の映像ホールで、宇宙の立体映像を見ながら解説を聴く。

 日本の政治や経済には閉塞感が漂うが、宇宙全体から見ればちっぽけなことかもしれない。子どもたちには夢や希望をもって生きてほしいので、天文台を訪れ宇宙の広大さを感じることも時にはよい。

ぐんま天文台

プラネテス サントラ

 宇宙を舞台にしたアニメーション「プラネテス」は、音楽もたいへん魅力的。酒井ミキオのオープニングとエンディングは勇気づけられる曲。雅楽の音色も宇宙空間をイメージして効果的に用いられている。何より、黒石ひとみの歌う「A Secret Of The Moon」は、空間の広がりを感じさせ素晴しい。

プラネテス サントラ
TVサントラ
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