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ヘレン・ケラーを支えた電話の父・ベル博士

 2歳の時に高熱で聴力、視力を失ったヘレン・ケラーと、電話の発明・普及を通じて、人類に多大な貢献をしたアレグザンダー・グレアム・ベルとの交流を描いた本。小学生でも読める易しい文章で書かれているが、中身は濃く、多くの写真と共に二人の生涯をたどることができる。
 ベルは、母親、妻共に聴覚障害者であった。ベルは、難聴であった母に声を伝える経験を通じ、発声や伝達の仕組みに関心をずっと抱いており、それが電話の発明への情熱に繋がったといわれる。
 ベルは若い頃、ボストン聾唖学校に勤め、その仕事に誇りを持ち、電話の発明家として大成した後も肩書きに「聴覚障害者の教師」を入れ続けたという。
 ヘレン・ケラーを生涯支え続けたアニー・サリバンは、ベルがヘレンに家庭教師をつけるために、盲学校の校長を通じて呼び寄せた人であった。アニー・サリバンは、ヘレンを明るい世界に導いた。
 技術と教育の双方に示唆を与えてくれる本。

ヘレン・ケラーを支えた電話の父・ベル博士

桜井順CM WORKS(1957-2007)

 「お正月を写そ フジカラーで写そ」「石丸電気はアキハバラ」「鰹風味のほんだし」

 言葉を並べただけだが、なぜかメロディーが浮かんでしまう。
 世相を映すTV文化は、コマーシャルにも集約される。その世界で常に第一線を突っ走ってきた桜井順のCM曲集がこのCD。これでもか、これでもかと懐かしのCM、キャッチーなメロディが溢れ出る。その多彩さとセンスには、圧倒される。
 野坂昭如の「ソ・ソ・ソクラテスかプラトンか」の続きが聴けたのも嬉しかった。
 桜井順の半世紀に及ぶ作品を厳選した、時代を写す貴重なアルバム。

桜井順CM WORKS(1957-2007)
野坂昭如 ソニア・ローザ 大槻ケンヂ 楠トシエ 加藤和彦
B000YIRSMG

ホーホケキョとなりの山田くん オリジナルサウンドトラック

 「愉快な音楽Ⅰ 猪突猛進」「カッコウ」「ショパン ノクターン第1番変ロ短調」「マーラー交響曲第5番第1楽章」「犬のおまわりさん」「アルビノーニのアダージョ」「若者たち」「さくら さくら」「マーラー交響曲第1番第4楽章」「バッハ プレリュードとフーガ」「月光仮面主題歌」「ケ・セラ・セラ」……
 曲名だけを並べると、何のCDだか皆目見当が付かない。が、これはすべてジブリの映画「ホーホケキョとなりの山田くん」のオリジナル・サウンドトラックに収録されている曲である。
 この映画が、画調に似合わずいかに音楽に凝っているかがわかる。
 クラシックやポピュラーの名曲を圧倒して、矢野顕子のカラーが前面を覆うことに驚く。あらためて矢野顕子の凄さを実感したCDでもある。

ホーホケキョとなりの山田くん
矢野顕子 生田弘子 山田家の人々 近藤よし子
B000059HT3

ホーホケキョ となりの山田くん

 「ホーホケキョ となりの山田くん」は、高畑勲監督による1999年公開のスタジオジブリ長編映画。いしいひさいちの4コマ漫画が原作。
 ジブリはこの作品でセル画を用いないデジタル制作に切り替える。しかし、あわあわとした水彩画のようなこの作品の場合、何層も絵を重ねる行程が必要で、手間がかかり、進行は当初たいへんに遅れたようだ。
 およそデジタルに向いていなそうなこの作品からデジタルに移行するという感覚がすごい。また、音楽もシーンごとに変え、凝りに凝っている。
 歳時記風に、芭蕉や蕪村などの句を盛り込む文芸趣味も、高畑勲監督らしい。制作費が20億円と、「ルパン三世カリオストロの城」の4倍。ある意味ものすごい贅沢な作品。

ホーホケキョ となりの山田くん [DVD]

春風亭百栄の落語 人間国宝への道・第一章

 春風亭百栄の落語「七つのツボを押す男」「寿司屋水滸伝」を収めたCD。
 「七つのツボを押す男」は、少年誌のヒーローをネタにした百栄の新作で、1980年代を知るものにはたまらない爆笑もの。
 
 「寿司屋水滸伝」は、柳家喬太郎のトリビュートで、その「トリビュート」すら笑いのネタにしてしまうしたたかさがいい。

春風亭百栄の落語 人間国宝への道・第一章
春風亭百栄
B002S6JKH8

平清盛 33

 NHK大河ドラマ第33回は、「清盛、五十の宴」。平家一族が栄華を誇る宴に、数々の人物が訪れる演劇風の回。源頼朝の憔悴との対比が更に際立ち、極に達した転換点が感じられる。

NHK大河ドラマ「平清盛」

平 清盛 後編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233608

One Fine Day

 大貫妙子のアルバム「One Fine Day」。たおやかで優しい歌声が、ピュアな世界をつくる。独特の色彩と浮遊感をもった曲集。

One Fine Day
大貫妙子
B00074C6MO

時代を変えた女たち

 童門冬二の「時代を変えた女たち」を朗読したCD。卑弥呼、法均尼、小野小町、紫式部、平時子、北条政子、静御前、日野富子と、歴史の節目に登場した女性にスポットをあてている。
 簡潔な文章で、歴史における各人の役割が明瞭に浮き上がる。

[オーディオブックCD] 童門冬二 著 「時代を変えた女たち(1) 」(CD2枚)
童門冬二
B0019X3NGU

ロゴ、スクイーク

 授業におけるICT活用の研修を教員に対して行う。導入として、ヘレン・ケラーと電話の発明者ベルとの交流を話し、およそ偉大な発明は人に対する関わりから生まれることを提示する。”IT”が"ICT"になったことに象徴されるように、コミュニケーションの重要性は、電話によって肉声による即時性が実現されたときより増大している。特別支援教育では、とりわけ子どもたちの表現を広げる実践が重要であることを話す。

 授業において活用できる様々なサイトを紹介した後、これだけ多様に情報がある時代だからこそ、何のためにICTを活用するのかをしっかり見据えないといけないことを伝える。

 そして、1980年代、コンピュータが教育に応用されはじめた時代にさかのぼり、MITのパパート教授の”LOGO"の話をし、実際にLOGOを「ロゴ坊」で体験してもらう。戸塚滝登氏の富山での実践を紹介し、コンピュータに触れさせる前に、目的を見定めることを確認する。

 その後、LOGOの思想的流れをくむ「スクイーク」を紹介し、演習をする。自分たちの書いた絵が動く様に、教員も集中して取り組んでいた。この研修が思考力・表現力を高める実践に繋がることを願っている。

マインドストーム―子供、コンピューター、そして強力なアイデア
シーモア パパート Seymour Papert
4624400437

スクイークであそぼう【CD-ROM付】
Thoru Yamamoto 阿部 和広
4798104809

奇跡の人

 幼少時に高熱のため視覚、聴覚を失い、発語もままならないヘレン=ケラーと、その教育のために雇われたアニー・サリバンとの関わりを描く映画「奇跡の人」。
 名匠アーサー・ペン監督によるモノクロ画面は力強く、アン・バンクロフト、パティ・デュークの体を張った演技に釘付けになり、最後まで目が離せない。ラストは内側から溢れる感動に体が震えた。

奇跡の人 [DVD]
B004X3Z37K

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