アンナ・カレーニナ〈下〉
トルストイの「アンナ・カレーニナ」下巻は、社会、芸術、宗教などいくつもの思想を登場人物のやりとりの中で敷衍しつつ、人々の運命をからませていく。
誠実な愛情が激しいゆえに破局に向かっていく。アンナの道すがらの描写は迫力に満ち、読むものを惹き付けて止まない。
幸福と不幸、愛情と憎悪、実直と欺瞞、理想と現実、幾多の対比を透徹したリアリズムの内に描く。その充実した読後感は、他の書物では得られない芳醇な味わいがある。人の営みが凝縮された不朽の名作。
トルストイの「アンナ・カレーニナ」下巻は、社会、芸術、宗教などいくつもの思想を登場人物のやりとりの中で敷衍しつつ、人々の運命をからませていく。
誠実な愛情が激しいゆえに破局に向かっていく。アンナの道すがらの描写は迫力に満ち、読むものを惹き付けて止まない。
幸福と不幸、愛情と憎悪、実直と欺瞞、理想と現実、幾多の対比を透徹したリアリズムの内に描く。その充実した読後感は、他の書物では得られない芳醇な味わいがある。人の営みが凝縮された不朽の名作。
2組の男女の恋愛を軸としながら、多彩な人間模様で展開される、「アンナ・カレーニナ」中巻。
幾多の人物の中には、感情移入できる人もいれば、嫌悪をいだく者もいる。その多様さが、この物語の魅力といえる。
華やかなかに欺瞞と冷徹がうずまく社交界と、農村の素朴な描写を織り交ぜながら、滔々たる大河のように物語りは進んでいく。豊穣な読書体験を与えてくれる文学作品。
「幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである。」
トルストイの代表作「アンナ・カレーニナ」。この長大な作品は、冒頭である家族の不倫の話で興味を惹き付けつつ、悠然とした歩みを見せる。主人公であるアンナは、100ページ読んでも現れない。しかし、この序盤の描写は、すべて後の布石となるのであった。
構成感豊かな、トルストイ渾身の文学。
「私はいま,宇宙の最も原始的な姿,人間の最も素朴な強さを,より鮮明に捉えられないかと,ぼんやりと考えています.人間の持つ醍醐味は,その個性や自我,喜怒哀楽,その限界……から離れたところにも広々と存在すると思う.-その,言葉にならない魅力を,ゆっくりと知ってはいけないものでしょうか.」
日本評論社の雑誌「数学セミナー」の別冊創刊号「ζの世界」は、1997年6月に刊行された。ζ(ゼータ)関数についての文章がまとめられた、極めて密度の濃い冊子である。
執筆者として、数学者に交じって、フェリス女学院高校3年の中島さち子の文章が収められている。「ゼータの世界を眺めて」というタイトルで、数論のいくつかのトピックスをちりばめ、自らの抱負を語っている。知的好奇心に満ちた、きらきらと輝く少女の姿が眼にうかぶ、生き生きとした文である。内容については、高校生がここまでレベルの高い数学を理解し感銘を受けているのかと、圧巻の思いであった。まさしく、真の才媛である。
中島さちこTRIOの音楽は、前向きな明るさに満ちている。それは、学問の深さとその豊かさを充分に知り、人生の素晴らしさを実感しているからこそ生まれる音楽なのであろう。
REJOICE
中島さち子TRIO
ゼータの世界
梅田 亨 若山 正人 黒川 信重 中島 さち子
世界の民族音楽を主題としたパフォーマンス集団「芸能山城組」。このCDには、その広大な世界の一端が凝縮されている。
「恐山~序曲」から始まり、ヨーロッパの民族音楽、アジア・アフリカの文化を探り当てた様々な楽曲、日本の瑞々しい歌謡などが収められている。その学究的なアプローチに裏打ちされた音楽からは、人々の営みの深さが実感される。
変幻自在な表現が展開される、極めて多彩で濃密なアルバム。
芸能山城組入門
芸能山城組
オールスターキャストで描くパニック映画「新幹線大爆破」。新幹線に爆弾を仕掛け、乗客の身代金を要求する犯人と当局とのスリリングな駆け引きを描く。
時速80km以下になると爆発する設定は、「スピード」「エアポート2001」など他の映画で模倣されている。
脚本がよく練られており、次々と予期せぬ事態が勃発し、最後まで惹き付ける。犯人側の事情も日本映画ならではの哀感がある。
高倉健、千葉真一、宇津井健を始め、錚々たる俳優が名を連ねる。北大路欣也、田中邦衛がチョイ役で出るという贅沢ぶり。
日本が世界に誇るパニック映画の超大作。
網走番外地 北海編は、高倉健が仮出獄をしトラックを運転するストーリーで、ロードムービーの趣がある映画。 ジョン・フォード監督の「駅馬車」のように、道中で様々な人間模様が繰り広げられる。
雪の中で高倉健の演技が光る。二十歳前の大原麗子も魅力的。
ホロヴィッツによるベートーヴェンとチャイコフスキーのピアノ協奏曲が収められたCDを聴く。
ベートーヴェンはフリッツ・ライナー指揮、RCAビクター交響楽団による1952年の演奏。明快なタッチで華やかに奏でられる名演。
チャイコフスキーはトスカニーニ指揮、NBC交響楽団による1943年のライヴ録音。情熱的な力強さと弱音の美しさを兼ね備え、一音一音研ぎ澄まされたたピアノにより、奔放に演奏される。オーケストラとのやりとりもスリリングで聴き応えがある。
ベートーヴェン : ピアノ協奏曲 第5番 「皇帝」 | チャイコフスキー : ピアノ協奏曲 第1番 (Beethoven : Piano Concerto No.5 ''Emperor'' | Tchaikovsky : Piano Concerto No.1 / Vladimir Horowitz)
ベートーヴェン ヴラディーミル・ホロヴィッツ
NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第34回は、「薩長同盟!」。
美和が小田村に薩長同盟の件で愚痴を言うシーンが見苦しかった。藩の一大事について、私怨のみを義兄とはいえ藩の要人にぶつけるとは。志を兄である吉田松陰から学ぶ才女であったはずではないか。
吉行淳之介が芥川賞を受賞した作品「驟雨」を、渡辺謙が朗読したCDを聴く。
淑やかな風情と知的な面立ちをもった娼婦と若いサラリーマンとの交情を描いた作品。
渡辺謙の魅力的な声で、しっとりとその世界にひたることができる。渡辺謙の表現の見事さが光る朗読。
驟雨 [新潮CD]
吉行 淳之介
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