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2015年ベスト

 気がついたら、このブログが10年を越えていた。1日1つのペースで何かを紹介する試みも、何とか続けることができ、記事の数も 3800 になった。
 この2015年の中で、特に感銘を受けたものを振り返ってみたい。

 時代小説: 一夢庵風流記
 前田慶次郎の生涯を掘り起こし、人生の機微に通じた懐深いエンターテイメントに昇華させた力量には脱帽する。本を読む楽しさを真に与えてくれた。隆慶一郎という作家を知り、ほんとうに良かった。

 古典作品: アンナ・カレーニナ
 古典文学の凄みと深みを知ることができ、今年で一番意義深かった読書体験。

 ドラマ: 64(ロクヨン)
 NHK土曜ドラマとして、5回シリーズで放送された。その密度の濃さと緊迫感は圧巻。最近のドラマにない感覚であった。横山秀夫の原作も素晴らしく、その良さを凝縮し見事に映像化していた。同時期にやっていた大河ドラマのフヌケた脚本と対照的であった。
 下町ロケットも楽しかったが、ドラマとしての完成度として64をベストに掲げたい。

 音楽: 宇野誠一郎 作品集
 「ふしぎなメルモ」「一休さん「ねえ!ムーミン」「小さなバイキングビッケ」「やまねずみロッキーチャック」など、宇野誠一郎のアニメ音楽には印象に残るものが多い。そこはかとない抒情と実験精神。生き生きとしたリズムとメロディは歌い継がれる魅力を持っている。

 歌手: のこいのこ大全
 ひらけ!ポンキッキの曲は、今でも鮮烈に覚えているのだが、この人の役割が大きい。コマーシャルでも実に多くの場面でこの人の声にふれていた。

 役者: 熊倉一雄さん
 この方も本当に得難い役者であった。その存在感は、幾多の作品の中にとどめられていく。

 映画: 東京物語 雨月物語 切腹 新幹線大爆破
 最近の作品ではこれというものがなかった。やはり昔の作品が良い。様式美と緊密な脚本。その世界に誘い自然と浸ることができる。

 アニメ: 食戟のソーマ
 これは楽しかった。サービス精神満載。「ごちそうさまでした。」

 旅: 岩地海水浴場
 長男・次男ともに受験を控え、あまりおでかけすることが少ない年であった。その分、伊豆への旅行が輝いた思い出になった。

 とりとめなくあげたら、エンターテイメント性の高いものが多くなった。人生肩肘張らず、楽しんでいこうという気持ちが強くなったためだろうか。これからもいい作品に出会い、伝えることを続けたい。

ワイルド・ソウル 下

 垣根涼介の「ワイルド・ソウル」は、下巻において怒濤のストーリーが繰り広げられる。
 ブラジル入植に関わった人々が集い、壮大な計画を実行していく。先の読めない展開、様々な人情の機微、そして、スピード感溢れる対決。ページをくるのがもどかしいほど面白い。
 爽快な読後感をもつ、極上のエンターテイメント。

ワイルド・ソウル(下)(新潮文庫)
垣根 涼介

ワイルド・ソウル 上

 垣根涼介の小説「ワイルド・ソウル」は、ブラジルに渉った日本人移民の悲劇をベースにしたサスペンス。上巻では、日本政府の募集に応じ、夢を求めて密林にわたったものの、絶望と貧困にさいなまれる人々姿と、その後の人々の様子が描かれる。
 読書の醍醐味を与えてくれる傑作小説。

ワイルド・ソウル 上 (新潮文庫)
垣根 涼介

のこいのこ大全

 「ヤセタンとコロンタン」「パタパタママ」「まる・さんかく・しかく」「はたらくくるま」など、のこいのこが明るく伸びやかに歌う「ひらけ!ポンキッキ」の曲はどれも忘れがたい。最初の一声だけでメロディーと歌詞が浮かんでくる。
 張りのあるチャーミングな声は、CMにうってつけであり、800のCMソングを吹き込んだという。
 「オノデンボーヤ」「味の素マリーナ」「エバラ焼き肉のたれ」「ナショナルエアコンクール&クール」「サンヨー食品カップスター」
 何気なく耳にしていた多くの曲が、のこいのこの声であったことを知り、その表現力の豊かさに驚かされる。
 伝説のヴォーカリストが歌う名曲がびっしりつまった貴重なアルバム。 

のこいのこ大全

伝説巨神イデオン 総音楽集

 伝説巨神イデオンは、すぎやまこういちによる素晴らしい音楽に彩られている。どの曲もシーンに合い、実に見事である。
 特に、エンディングとして戸田恵子が歌う「コスモスに君と」は名曲中の名曲で忘れがたい。
 劇場版「発動篇」で、「コスモスへ」という美しい曲が流れた時には、シーンの荘厳感とあいまって鳥肌が立つほど感動した。

伝説巨神イデオン 総音楽集
たいらいさお アニメ主題歌 戸田恵子 水原明子

伝説巨神イデオン

 「伝説巨神イデオン」は、1980年に放送された富野喜幸監督のテレビアニメ。既存のロボットアニメの枠を越え、哲学的な内容を含んだ壮大なドラマであった。
 テレビ放送は39話で打ち切られてしまったが、最終話の結末を描くために劇場版が製作された。1982年、「接触篇」「発動篇」の二本立てで公開された。「接触篇」はテレビ版のダイジェスト、「発動篇」は、打ち切られた部分を丁寧に描写している。
 「発動篇」の戦闘シーンの激烈さは他のアニメ一切を凌駕する。「発動篇」を劇場で観たときの衝撃は忘れられない。

「伝説巨神イデオン」劇場版 Blu-ray(接触篇、発動篇)

伝説巨神イデオン DVD-BOX

伝説巨神イデオン DVD-BOX PART-2 ニュープリント・デジタルニューマスター版

英国王のスピーチ

 吃音に悩まされたイギリス王ジョージ6世と、その治療にあたった言語療法士の友情を実話を基に描いた作品「英国王のスピーチ」。ジョージ6世は、現イギリス君主エリザベス2世の父であり、吃音があった事実を映画化することに、イギリス映画界の懐の深さを感じる。
 エリザベス妃の役はヘレナ・ボナム=カーターであったが、気品があり前向きな姿勢をもった演技にはたいへん好感がもてた。暗くなりがちなテーマの中で、この人が映画に明るさをもたらし、大きく貢献していると感じた。
 第83回アカデミー賞における作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞受賞作品。

英国王のスピーチ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

蝉しぐれ

 藤沢周平の「蝉しぐれ」は、藩内の政変にまきこまれた少年の成長を描いた時代小説。美しい風景描写の内に、友情とほのかな恋愛がしっとりと描かれる。
 爽やかな読後感のある、藤沢周平の代表作。

蝉しぐれ (文春文庫)
藤沢 周平

鉄の骨

 池井戸潤の「鉄の骨」は、建設業界の談合を描いた作品。ゼネコンの若手社員が、建設現場から公共工事受注部門に移り、そこで入札の現実を目の当たりにする。
 「半沢直樹シリーズ」「下町ロケット」などのヒット作に通じる、組織に生きる人々の闘いを描いた熱い人間ドラマ。

鉄の骨 (講談社文庫)
池井戸 潤

シェフ!

 フランスのコメディ映画「シェフ!」。料理へのこだわりが強すぎて職が続かない料理人と、ジャン・レノ演じるスランプ気味の天才料理人が組んで三つ星レストランを目指すお話。
 90分ほどで、たいへん気軽に見られる。料理のシーンも多く、目を楽しませてくれる。
 このような手軽に見られてセンスのある楽しい作品は、意外と少ない。

シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~[初回版] [DVD]
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