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狗賓童子の島

 幕末、隠岐の島に15歳の少年が流刑囚として送られてきた。大塩平八郎の乱における首謀者の一人、西村履三郎の息子であり、父親の咎を受けての島流しあった。
 少年は村人たちに温かく迎えられ、成長していく。しかし、隠岐の島も幕末の動乱とは無関係ではなかった…。
 主人公と島の人々との交流を軸にしながら、幕末の日本を重層的に描く飯嶋和一の歴史小説「狗賓童子の島」。
 押し寄せる波のように、静かな島は幕府の圧政や迫り来る病、海外からの干渉にさらされる。著者は弱者の立場に視線をおき、島民の様子をつまびらかに描写する。淡々とした筆致であるが、主人公の体験に身をおき独特の感慨が味わえた。
 格別の読書体験ができる重厚な歴史小説。

狗賓童子の島 (小学館文庫)
飯嶋 和一

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