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昭和ちびっこ未来画報

 昔の少年誌には、見開きで未来を予想する絵がよく載っていた。空中を浮遊する車であふれた都市や、海中都市の様子など、未来をリアルに描き、子どもたちの想像力をかき立てた。
 小松崎茂、伊藤展安など画伯の絵には説得力が感じられた。
 中には、高速道路でスピード違反をする車を排除するロボット、手紙をロケットで外国に運ぶ郵便システムなど、奇妙な描写もあるが、ツッコミどころのあるパノラマを大まじめに作っていた。
 どのページをみてもほほえましくも楽しい本であり、夢がある時代の良さを感じさせてくれる。当時の想像力の産物が実現したものもあるが、来なかった未来も多い。
 現在の子どもたちは未来にどんなイメージを持っているのだろうかと、ふと考えさせられる。
 夢のあった、わくわくした時代の空気を感じる貴重な本。  

昭和ちびっこ未来画報
初見 健一
486152315X

U・ボート

 ドイツの潜水艦を舞台として極限状況の人々を描いた映画「U・ボート」。1981年公開のウォルフガング・ペーターゼン監督作品。
 第二次大戦中の海の下、狭い空間で人々は必至に任務にあたる。敵艦への攻撃の後は必ず報復攻撃があり、逃げ場はない。艦内の状況が実にリアルに描写され、この上ない緊迫感を生み出している。
 3時間を越える長尺であるが、個性的な登場人物と巧みなストーリー展開のため、最後までずっと惹き付けられる。
 閉塞された中での濃密な人間模様を活写した戦争映画の大傑作。

U・ボート ディレクターズ・カット [DVD]

ナツメロ 小泉今日子

 小泉今日子が、野村義男バンドなどの強烈なヘヴィ・メタルサウンドに乗って放つ懐かしの歌。
 「学園天国」からはじけまくる。「S・O・S」「お出かけコンセプト」「赤頭巾ちゃん御用心」とテンションは落ちず、「夢見る16才」のような落ち着いたナンバーをはさみつつ、ラストの「みかん色の恋」まで一気に駆け抜ける。構成感もステキ。
 ファンキーな「アクビ娘」が自分のツボにはまった。
 遊びゴコロと楽しさに満ちたサイコーのアルバム。

ナツメロ

続・星守る犬

 「星守る犬」の続編となる村上たかしのコミック。前作に関わるエピソードがちりばめられるが、やはり犬がメインのストーリー。人々の温かい情が全編に流れ、前の巻より感動するシーンが多かった。
 潤んだ目で見つめる犬と、癒される人々が織りなすハートフル・コミックの名編。

続・星守る犬 (漫画アクション)
村上たかし
B01N3B3FNA

星守る犬

 村上たかしのコミック「星守る犬」は、残された時間を生きる人と犬との交流を描いた作品。一コマ一コマに抒情があり、切なさと温かさがこみ上げてくる。
 犬の無償の愛に感慨がこみあげる癒しの書。

星守る犬
村上 たかし
4575301434

南極料理人

 南極観測隊員の日常を描く「南極料理人」。堺雅人主演、沖田修一監督作品。ふじドーム基地は、昭和基地より遥か奥地にあるバクテリアすら生息できない陸の孤島。極限の地で業務に携わる8人にとって、食事は特別な時間であった。
 料理が人々の営みに大きな意味をもっていることを実感させてくれる映画。 

南極料理人 [Blu-ray]
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西郷どん 12

 NHK大河ドラマ「西郷どん」第12回は、「運の強き姫君」。篤姫は、紆余曲折の末に将軍家定に嫁ぐことが決まる。
 西郷と篤姫との不自然な関わりがドラマの質をおとしている。遊郭のシーンがお気楽すぎ。一番まともな人物は井伊直弼と感じる。
 藤田東湖は紀行で触れられたが、なぜ本編で出てこなかった?難しそうな思想、政治、社会情勢より、安直な恋愛を前面にという姿勢を貫きたいようだ。

NHK大河ドラマ 西郷どん

西郷どん 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)
NHK出版
4149233772

西郷どん 完全版 第壱集 DVD
B07CGLC9P2

昭和漫才傑作選

 中田ダイマル・ラケット、京唄子・鳳啓助、夢路いとし・喜味こいしなど、昭和の漫才6選を収録したCD。
 どれも絶妙の掛け合いが素晴らしい。中田ダイマル・ラケット「僕の漂流記」はまさしく話芸。松鶴家千代若・千代菊の極端に密度の薄いのんびりとした話も良い。
 聴き手の懐の深さも感じられ、昭和の温かみが感じられる1枚。

ザ・ベスト 昭和漫才傑作選
漫才 夢路いとし 喜味こいし
B075QS3WQK

まぶた

 不眠症の女性が飛行機で席が隣りとなった男性の話に惹かれていく「飛行機で眠るのは難しい」、水泳選手の弟の異変を描く「バックストローク」、少女と中年男性の逢瀬での体験を綴る表題作など、小川洋子の短編8話を集めた「まぶた」。
 ロアルド・ダールの「あなたに似た人」のような趣きもある。現実と非現実が交錯する奇妙な味の作品集。

まぶた (新潮文庫)
小川 洋子
4101215227

大誘拐

 天藤真の小説「大誘拐」は、ユーモア・ミステリーの嚆矢。若き3人組が、紀州名家の老女を誘拐し身代金を要求することを思いつく。うまくいったかに思えたが……。
 意表の展開に満ち、サスペンスも満載。窮地に陥るがゆえに人々の本質が浮き彫りにされる。
 読む喜びを与えてくれる大傑作。

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)
天藤 真
4488408095

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