« 2019年7月 | メイン | 2019年9月 »

宮川泰 テレビテーマ・ワールド

 「シャボン玉ホリデー」は、ザ・ピーナッツがオープニングを歌い夢のように番組に誘われる。「ゲバゲバ90分!」の楽しさと高揚感に溢れるテーマは、聴いただけで心が浮き立つ。最初の2曲だけで宮川音楽の世界に魅了される。
 「ひるのプレゼントテーマ」も、ああお昼休みだと自然とスイッチが切り替わる曲。
 「カリキュラシーン」は、教育番組の形をとったオトナの映像。ひらがなや算数をネタにしながら、切れ間なくぶっとんだコントが続く。出演者も豪華であるが、音楽がどれも素晴らしい。オープニングは、NHKの「チコちゃんに叱られる!」のテーマ曲にも採用された。
 「あいつのあたまは あいうえお」で始まる「行の唄」は、未だに耳から離れない名曲中の名曲。1番は宮川泰自身が歌っている。
 タイルと動物や物と関連づけるシーンが多かったが、「タイルを置こう」の音楽も印象に残る。
 
 アニメでは、「ワンサくん」のショー・ビジネスのような華やかでモダンさ。そして、不朽の名作「宇宙戦艦ヤマト」の音楽群。日本人であれば耳にしない人はいないのではないかという勇壮なオープニング、「真赤なスカーフ」の限りない哀愁。
 「たまりまセブン」など、ドタバタ番組のオープニングにも宮川の音楽はよくあった。
 「ズームイン朝」も、目覚めの一日のスタートへのきっかけを与えてくれる勢いがありつつ、繊細な音楽。

 宮川泰が作曲した一部をあげただけで、いかに日本人の生活に入り込んでいる音楽であるかが分かる。テレビの黄金期に膨大な曲を生みだし、人々に楽しさと希望を与えてくれた稀代の作曲家であった。
 テレビのワクワク感がつまった、時代を超えて心に寄り添うテーマ曲集。

宮川泰 テレビテーマ・ワールド [ 宮川泰 ]

満潮に乗って

 アガサ・クリスティの推理小説「満潮に乗って」。大富豪が戦時中に亡くなり、遺産は嫁いだばかりの若い未亡人が相続することになった。富豪の財産に依存していた親族と、相続した未亡人と愛人との人間関係が錯綜する。
 名探偵エルキュール・ポアロが登場するシリーズのひとつであるが、「オリエント急行殺人事件」や「ABC殺人事件」ほど知名度がない作品。推理小説であるが、殺人事件はなかなか起こらない。それまで人間ドラマが展開されるが、これがなかなか面白い。
 後半から一気に話が進みここからはページをめくらずにはいられないほど引きつけられる。クリスティお得意のミスディレクションが円熟の域に達している。ラストのキレも良い。
 ポアロが登場するミステリーの隠れた傑作。

満潮に乗って (ハヤカワ文庫) [ アガサ・クリスティ ]

秘密機関

 アガサ・クリスティの長編2作目にして、トミーとタペンスが初めてコンビを組む「秘密機関」。
 ミステリーの女王の初期作品であるが、まるで少女が勢いにまかせて書いたようなミステリー小説である。はずむような筆運びで、話は実に都合良くとんとん拍子に進むのでライト・ノベルのようにスラスラと読める。
 初々しさにあふれた、ほほえましいスパイ・スリラー。

秘密機関 (ハヤカワ文庫) [ アガサ・クリスティ ]

僕達急行 A列車で行こう

 鉄道ファンである若者の友情と恋を描いた映画「僕達急行 A列車で行こう」。森田芳光監督の遺作となった。
 森田監督は、「家族ゲーム」で大きく注目を集めた。「の・ようなもの」「そろばんずく」「失楽園」「キッチン」と様々な作品を手がけていた。実験的な作品も多く、好き嫌いが分かれるかもしれない。個人的には、宮部みゆき原作を読んだ後に劇場で見た「模倣犯」があまりにひどい感じたので、それ以来ほとんど鑑賞することはなかった。 しかし、この「僕達急行」は、鉄道への思いが伝わり、素直に楽しめる作品になっていた。
 瑛太と松山ケンイチ主演の映画で、さりげない友情が爽やかであった。ピエール瀧の役も印象的。
 本編に登場する列車の車両数は20路線、80モデルと言われている。本州、九州各地での撮影もたいへんであったろうが、内心は嬉々としてこなしているような雰囲気が伝わる。
 公開は、森田芳光監督が逝去して3ヶ月後であった。監督のオリジナル脚本であり、思いが結実した作品。  

僕達急行 A列車で行こう [DVD]

はじまりのうた オリジナル・サウンドトラック

 映画「はじまりのうた」のオリジナル・サウンドトラック。キーラ・ナイトレイの初々しい歌声、アダム・レヴィーンの貫禄の歌唱ともに魅力を放っている。
 音楽を通しての出会いが心に残る映画のワンシーン・ワンシーンを思い起こさせてくれる素敵なアルバム。

はじまりのうた オリジナル・サウンドトラック [ (オリジナル・サウンドトラック) ]

はじまりのうた

「音楽の魔法だ 平凡な風景が意味のあるものに変わる」

 ニューヨークを舞台に、かけだしのシンガー・ソングライターとおちぶれた音楽プロデューサとの出会いから生まれる物語。ジョン・カーニー監督による、2013年公開の映画。
 バラードを中心とした音楽がどれも良い。曲に惹かれるまま、自然とストーリーの流れに身を任せられる。
 音楽の素晴らしさを体感させてくれる珠玉の作品。

はじまりのうた BEGIN AGAIN(字幕版)

カインド・オブ・マジック

 クィーンの12枚目のアルバムで、映画「ハイランダー」の楽曲を用いている。「ワン・ヴィジョン」に始まり、「カインド・オブ・マジック」に続く流れは最高。「リヴ・フォーエヴァー」が感動的。「プリンシス・オブ・ザ・ユニヴァース」という格好いい曲で締めくくる。この構成も見事で、何度聴いても飽きない。
 1985年のライヴエイド出演により、グループの険悪な雰囲気を吹き飛ばした後に作られたアルバムであり、そのためか勢いがある。さらに円熟味が加わり、たいへん完成度の高いアルバムとなっている。

カインド・オブ・マジック [ クイーン ]

ハイランダー

 「ハイランダー 悪魔の戦士」は、1986年のアメリカ・イギリス合作映画。ニューヨークの古物商ナッシュは、1539年のスコットランドの戦いで「不死の者」となり、永きにわたり闘いを続けていた。「不死の者」は、首を切られない限り生き続ける一族であり、剣で戦う運命にあった。
 スコットランドの風景に感動。ショーン・コネリーが楽しく演じており、登場すると明るい雰囲気になる。意外な一面をみた感じがする。
 クィーンの音楽が素晴らしい。特に、主人公が愛する人と死別しるシーンで流れる「リヴ・フォーエヴァー」が心にしみる。エンディングで流れる「カインド・オブ・マジック」がとにかく良い。
 様々な魅力をもったアクション映画。  

ハイランダー/悪魔の戦士 [ クリストファー・ランバート ]

ホット・スペース

 クィーンがダンサブルな音楽を追求したアルバム。前半、ファンキーな曲が続くが、後半は「ジョン・レノンに捧ぐ」とした「ライフ・イズ・リアル」に始まり、レノンを彷彿させる比較的落ち着いたナンバーとなる。ラストの「アンダー・プレッシャー」はデヴィッド・ボウィとの共作である。
 クィーンの野心と職人芸を感じさせる独特の位置をしめるアルバム。

ホット・スペース [ クイーン ]

三大怪獣 地球最大の決戦

 ゴジラ・モスラ・ラドンとキングギドラが戦う1964年の映画「三大怪獣 地球最大の決戦」。キングギドラが初めて登場した作品である。
 怪獣以外の部分でも、黒部ダムへの隕石墜落、小国の王女の失踪などが絡んだ凝ったストーリーになっていた。
 やはり、キングギドラはその造形と金属的な鳴き声で、圧倒的な存在感をもっていた。

三大怪獣 地球最大の決戦

アクセスランキング

Ajax Amazon

  • Amazon.co.jpアソシエイト
  • UserLocal
  • Ajax Amazon
    with Ajax Amazon