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初音ミクSings“手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で”

「絵と音に憑かれた彼らの倦むことのない希求は、未知なる世界の開拓であった。」

 「リボンの騎士」「ジャングル大帝」「どろろ」など、手塚治虫のアニメーションのために作曲した冨田勲の音楽を、初音ミクや重音テトが歌うアルバム。
 精魂こめて作った絵と音の世界を、現在のテクノロジーと融合させて新たな世界を紡いでいる。
 テレビの草創期から手塚・冨田両名と密接に関わり、脚本を書いた辻真先が構成を手がけている。辻氏の書いたアルバムの解説にぐっとくる。
 辻氏、手塚治虫の長女るみ子さんのトークが、当時の熱気と作品にかけるこだわりが伝わり、実に興味深い。
 音楽を監修した佐藤允彦のピアノが素晴らしい。「どろろ」のジャズアレンジが心にしみた。
 作品にかける思い入れが詰まった、一期一会のコラボレーション・アルバム。

初音ミク Sings “手塚治虫と冨田勲の音楽を生演奏で" [ 佐藤允彦 meets 初音ミクと歌う仲間たち with 重音テト ]

パシフィック・リム

 「数字は神が書いた真実に近い」

 人が乗る巨大ロボットと怪獣との闘いを描いたアメリカ映画「パシフィック・リム」。海底の裂け目から現れた怪獣によって、人類は滅亡の危機に瀕する。対抗すべく作られたロボットに乗るパイロットと怪獣との死闘が繰り広げられる。
  全編を通じて、日本の怪獣映画やロボットアニメ、特撮映画への敬愛が感じられる。敵の呼称も"Kaiju"である。
 パイロットのみでなく、生物学者や数学者を活躍させるあたりがアメリカらしい。冒頭の言葉は、怪獣の出現を予測する数学者の言葉。
  緻密な造形とこだわりの映像で見る者を引きずり込む、超弩級のエンターテイメント・ムービー。

パシフィック・リム(字幕版)

リップヴァンウィンクルの花嫁

 「リップヴァンウィンクルの花嫁」は、岩井俊二の脚本・監督による映画。運命に翻弄される女性を、黒木華が繊細に演じる。彼女に関わる謎の男を綾野剛、共に住むことになる女性をCoccoが演じ、強い存在感を示している。
 3時間に及ぶ作品であるが、黒木華のもつ雰囲気に惹かれ、時間を忘れずっと見入ってしまった。

リップヴァンウィンクルの花嫁【Blu-ray】 [ 黒木華 ]

ロード・オブ・ウォー

 武器商人を描いた映画「ロード・オブ・ウォー」。アンドリュー・ニコル監督による2005年公開作品。ウクライナからのアメリカ移民、ユーリ・オルロフは、武器の売買を手がけ、富を手にしていく。
 いわゆる「死の商人」の実相を、豊富な取材をもとにリアルに映像化している。戦争も、武器がなければ起こしえないが、そこにビジネスとしてのチャンスを見出す様が克明に示される。まさしく死と隣り合わせのビジネスであり、緊迫感と共に主人公の孤独も表出されている。

ロード・オブ・ウォー [ ニコラス・ケイジ ]

ブラームス交響曲第4番

 ひたひたと胸に迫るブラームスの音楽。交響曲第4番は、枯葉が風に舞うように、あるいは泉の水面に冷たい風がさざ波をたてるかのように、心象の深みに静かな影響を与える。
 サイトウ・キネン・オーケストラは確かに美しい。しかし、ことこの曲に関しては先鋭さがほんとうにプラスになっているのかと考えてしまう。カラヤン、ブルーノ・ワルターなどの表現がどうにも懐かしくなってしまう。

ブラームス:交響曲全集 [ 小澤征爾 ]

ブラームス交響曲第3番

 ブラームスの音楽は、「秋のソナタ」と称されることがある。人生の哀歓を感じさせる曲調に満ちているからだろうか。ロマン派であるが、曲の構成を多く古典に求めている趣きにも所以があると言われる。
 ブラームス交響曲第3番は、まさに「秋のソナタ」と言うにふさわしい曲。全体を覆う美しくもの悲しい雰囲気は、聴く者の心の底に迫る。
 サイトウ・キネン・オーケストラは研ぎ澄まされた音でブラームスの翳りを美しく表出している。

ブラームス:交響曲全集 [ 小澤征爾 ]

ブラームス交響曲第2番

 ブラームス交響曲第2番は、第1番に22年の歳月をかけたことと対照的に、わずか4ヶ月間ほどで書き上げられたと言われる。第1番の完成によりふっきれたのか、曲想は全体的に伸びやかで、牧歌風の趣がある。
 小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラのCDでは、優美な演奏が聴ける。

ブラームス:交響曲全集 [ 小澤征爾 ]

ブラームス交響曲第1番

 小澤征爾指揮、サイトウ・キネン・オーケストラによるブラームス交響曲全集のCDを聴く。交響曲第1番は、ブラームスが長年あたためて満を持して発表した曲であり、重厚さとブラームスらしい晦渋さをたたえている。
 洗練されたアンサンブルと広い音域によりスケール感のある演奏となっている。

ブラームス:交響曲全集 [ 小澤征爾 ]

羽田健太郎 THE BEST -10th memorial-

羽田健太郎が演奏したピアノ曲や、作曲した作品を収めた2枚組のCD。
 演奏家としての技量の高さもさることながら、TV「渡る世間は鬼ばかり」、「西部警察PART-Ⅱ」、映画「さよならジュピター」など、質の高い楽曲を残した作曲家としても功績がある。
 通して聴くと、その多彩さと懐の深さにあらためて感銘を受ける。

羽田健太郎 THE BEST -10th memorial- [ 羽田健太郎 ]

クライマックス 〜BESTフォーク〜

 「若者たち」「なごり雪」「学生街の喫茶店」「結婚しようよ」「白い色は恋人の色」「太陽がくれた季節」など、懐かしのフォークソング40曲を収めた2枚組CD。次から次へとしっとりとした名曲が流れる。
 それにしても、小椋佳の「さらば青春」のように、歌詞の意味がよくわからないものが意外と長く歌い続けられている。あまり具体的でないほうが、いろいろな心象を重ねられてよいという見本かもしれない。
 心潤す青春フォークの集大成。

クライマックス 〜BESTフォーク〜 [ (V.A.) ]

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