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すばらしき映画音楽たち

 映画音楽をモチーフとするドキュメンタリー。様々な作曲家の様子が、実際の制作場面と共に描かれている。名作映画のカットも次々と登場し、映画音楽がいかに多様で工夫されているかが分かる。
 ジョン・ウィリアムズの現場でのシーンもあり、インスピレーションに満ちた音楽がいかに生み出されているかを伝える貴重な映像であった。
 音楽の意義を如実に伝え、豊かな時を与えてくれるドキュメンタリー映画。

すばらしき映画音楽たち [DVD]

カラマーゾフの兄弟 (まんが学術文庫)

 ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を漫画化した作品。1860年代、農奴解放令が出されて間もないロシアを舞台に、地主フョードルの家族をめぐる物語。純真な心根をもち、神に仕える三男アリョーシャ、冷徹なインテリの次男イワン、奔放で一本気な元軍人の長男ミーチャの三兄弟を軸に、様々な人物がからむ群像劇。その言動の内に、人々の生きる意味や神の存在が問いかけられる。 
 長大な原作は、大学のときに読みかなりの期間、おそらく2ヶ月以上がかかった。しかし、漫画ではほんのわずかな時間で読めてしまう。しかし、読後感はそれほど変わらないように感じた。エッセンスがうまく詰め込まれているからであろう。
 新進気鋭の漫画家、岩下博美が、原作をじっくりと読み込み、物語を焦点化し、見事な画力で絵にしている。怒濤の展開が当時の空気感を伴って劇画化され、極めて密度の濃い作品となっている。
 カラマーゾフの世界を圧巻の迫力で活写する力作。

カラマーゾフの兄弟 (まんが学術文庫)
岩下博美

罪と罰 (まんが学術文庫)

 ドストエフスキー『罪と罰』を原作とする漫画。1865年、帝政ロシアの首都で暮らす学生、ラスコーリニコフは、自らの理論に基づき、老婆を襲い金品を奪うことを決意する。
 岩下博美氏は、原作を咀嚼し、物語のエッセンスを趣のある絵柄で描いている。登場人物の個性も良く表出され、人間関係や心理がスリリングな展開をもって迫ってくる。背景となるサンクトペテルブルクの描写も良く、当時の雰囲気を彷彿とさせる。
 原作の本質に肉薄した力作。

罪と罰 (まんが学術文庫)
岩下博美

プラグマティズム (まんが学術文庫)

 アメリカを支える思想のひとつ、プラグマティズムを、開拓時代の西部を舞台としたストーリーで描く漫画。主人公の行動や、周囲に語る言葉から、実践に基づく行動哲学を実に分かりやすく伝えている。
 ガンマンたちの乱舞する西部劇として、一級のエンターテイメントに仕上げた教養コミック。

プラグマティズム (まんが学術文庫)
岩下博美

麒麟がくる 15

 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」第十五回は、「道三、わが父に非ず」。斎藤道三は仏門に入り、家督を高政に譲る。しかし、高政は道三の他の子や、道三と織田信長との関係に疑念を抱く。一方、信長の側は守護代の暗殺を成功させ、清洲を手中に収める。
 美濃・尾張・今川のせめぎ合いを、登場人物どおしの関わりを通して描いた濃密な45分。熟達した脚本と高いレベルの演出で見る者を虜にする。

麒麟がくる 前編 (NHK大河ドラマ・ガイド)

群衆心理 (まんが学術文庫)

 ル・ボンの「群集心理」に関する論考を、フランス革命時に恐怖政治を行ったマクシミリアン・ロベスピエールを主人公として表現したコミック。
 群集心理と同時にロベスピエールの半生が描かれ、フランス革命の歴史を概観することもできる。講談社まんが学術文庫の中でもことに中身が濃い出色の作品。歴史の重みを感じさせてくれる渾身の漫画。

群衆心理 (まんが学術文庫)

自殺について (まんが学術文庫)

 ショーペンハウアーの「自殺について」を漫画で表現した作品。まんが学術文庫シリーズ「幸福について」の続編にあたる。今回も個性的なキャラクターを配し、ストーリー仕立てでショーペンハウアーの思想をやさしく語りかける。
 漫画の多彩な技法を用い、すらすらと読ませてくれる。日本の漫画文化の深さをも感じさせてくれる好著。

自殺について (まんが学術文庫)
ショーペンハウアー 伊佐義勇

幸福について (まんが学術文庫)

 ショーペンハウアーの「幸福について」を基にした漫画。しかし、アフォリズムに満ちた書を単に表現しただけでなく、ショーペンハウアーの生い立ちをもストーリーに盛り込み、極めて興味深く読める。気がついたら、書の中に引き込まれていた。
 単に書に内容を羅列するのではなく、登場人物のホンネをはさみながら描かれているので、説得力がある。背景の絵も素晴らしく、当時のドイツの雰囲気が伝わってくる。漫画というのはすごいメディアだとあらためて感じさせてくれる。
 哲学への扉をひらく、見事な構成の漫画。

幸福について (まんが学術文庫)
ショーペンハウアー 伊佐義勇

ユダヤ人と経済生活 (まんが学術文庫)

 ゾンバルトの「ユダヤ人と経済生活」を基にした漫画。
 ユダヤの商人を主人公としたストーリーで、その思想が経済に与えた影響を描いている。経済と国家との関わりが、歴史的な背景をとおして分かりやすく語られる。

ユダヤ人と経済生活 (まんが学術文庫)

ツァラトゥストラはかく語りき (まんが学術文庫)

 ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を、漫画で表現した作品。サッカー少年の成長物語を、ニーチェの箴言を含めて描く荒技。
 「神は死んだ」の歴史的背景なども解説されており、教養書としても面白い。
 受験勉強中の次男が読み、「獅子のように生きなければ」と語っていた。今後の飛翔に期待している。

ツァラトゥストラはかく語りき (まんが学術文庫)

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