« 2021年3月 | メイン | 2021年5月 »

香乱記 4

 燎原の火の如く中国全土に広がった戦は、国土と人心を荒廃させた。斉の国も奔流にのまれ、蹂躙されていく。この混乱の中で、義を貫き、不撓不屈の精神を示した武将田横の生き様が鮮やかに描かれる。
 清澄な境地へと読者を導く最終巻。

香乱記〈4〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光

香乱記 3

 中国の統一をはたした秦も、苛烈な政治への反発が全土に広がり、終焉を迎える。名将が綺羅星のごとく生まれ、武力と智力の限りを尽くした戦が繰り広げられる。歴史の変わり目を怒濤の勢いで活写する第三巻。

香乱記〈3〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光

香乱記 2

 秦の末期、陳勝・呉広が反乱を起こし、その波は中国全土に拡大する。項羽・劉邦も頭角を現す。大きなうねりを記す第二巻。

香乱記〈2〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光

香乱記 1

 秦の始皇帝の圧政下、人々は苦しみ、反乱の胎動が中国全土で起こり始めた。斉王の末裔である田横は、様々な試練に合い、故郷斉の地を後にして幾多の人々と運命の出会いをする。
 項羽・劉邦の争いを主軸とした動乱の中で、信義を貫いた武人の姿を描く歴史大作。波乱に満ちた第一巻。

香乱記〈1〉 (新潮文庫)
宮城谷 昌光

管仲

 「管鮑の交わり」-互いに尊敬しあい、理解しあう理想的な交友を示す故事成語だが、宮城谷昌光の小説「管仲」は、この語の元となった管仲と鮑淑の友情を2人の若き日から描いている。幾多の悲運に出会う管仲と、管仲を尊敬し、陰に陽に支える鮑淑の姿を軸として、人としてのあり方、政のあり方が様々な形で示される。
 大小の国々が複雑な利害関係を持ち、治乱興亡を繰り返す中国の春秋時代を舞台に展開される、鋭い人間洞察が全編を貫く物語。

管仲 上 (文春文庫)

管仲 下 (文春文庫)

楽毅 4

 宮城谷昌光の小説は、話が進むにつれて深みが増していく。

 「楽毅」は2200年以上前の話であり、資料も少ないであろうに、そこに描かれる人々は実に生き生きとしている。ことに主人公は、まるで筆者に乗り移ったかのように語り、行動する。幾多の戦や遍歴を辿る中で、その精神は研ぎ澄まされ、戦略は神妙さを増していく。
 主人公の精神の在りようが深まりを持ち、それを基にしているがゆえに、弱小国が大国を窮地に陥れる神業ともいえる戦に合点がいくのである。
 苛烈な世に、「楽毅」はひときわ光輝を放つ生き様を示している。今の世でもひとつの指針となりえる名著。 

楽毅(四) (新潮文庫)
宮城谷昌光

楽毅 3

 滅び行く小国を必死で支える楽毅の姿には、深い感動をおぼえる。
 「隗より始めよ」で知られる燕の郭隗との邂逅、国の興亡、趙の変事など、多くの転機が描かれる第三巻。

楽毅(三) (新潮文庫)
宮城谷昌光

楽毅 2

 趙の武霊王の執拗な侵略を受け、中山国は滅亡の際に立たされる。中山国の臣、楽毅は、暗愚な君主に疎まれながらも故国を救う方法を模索する。
 歴史の奔流に飲み込まれる国に凛と立つ人物を描き、秋冷な筆色の中に深みをたたえた「楽毅」第二巻。

楽毅(二)(新潮文庫)
宮城谷昌光

楽毅 1

 中国の春秋戦国時代、天才的な力を発揮した楽毅の生涯を描く宮城谷昌光の小説。大国趙の執拗な侵攻にさらされ、暗愚な君主に翻弄される中山国。その中で、宰相の子である楽毅は、祖国を守る方途を探る。
 小さな国に降りかかる難題に、智力を駆使して立ち向かう様は、心の深いところに響くものがある。特に、塞の攻防をめぐる戦の描写は圧倒的な面白さ。簡潔で無駄がない文章の奏でる韻律も心地よい。
 人を真に動かす力とは何かを、国と国とのせめぎ合いの中に活写する、娯楽性と格調高さを兼ね備えた名作。

楽毅(一) (新潮文庫)
宮城谷昌光

春秋の名君

 宮城谷昌光による随筆集「春秋の名君」。内容は3部に分かれ、第1部では中国春秋戦国時代の12名の名君が語られる。
 第2部では、「孟嘗君」「重耳」「晏子」など創作に関わる思いなどが綴られている。中でも、司馬遼太郎との邂逅や別れを語る文章からは作者の強い思いが伝わっている。
 第3部は、日常のことや生い立ちなどを綴るエッセイで、どの作品からも清冽な空気が感じられる。
 筆者の歴史小説を支える周辺が清澄な文体で記された随筆集。

春秋の名君 (講談社文庫)
宮城谷 昌光

アクセスランキング

Ajax Amazon

  • Amazon.co.jpアソシエイト
  • UserLocal
  • Ajax Amazon
    with Ajax Amazon