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東京メトロポリタン・ブラス・クインテットPlaysすぎやまこういち・ソングス

 ドラゴンクエストでゲーム音楽の世界を革命的に広げたすぎやまこういち氏。ゲーム音楽はその功績のほんの一部であり、数々の名曲を世に送り出した。その一端を見事に伝えているCDが、「東京メトロポリタン・ブラス・クインテットPlaysすぎやまこういち・ソングス」。

 氏はフジテレビのディレクターとして、「ザ・ヒットパレード」を企画し、低予算のため自らも音楽を数多く手がける。「ザ・ヒットパレードのテーマ曲」は、初期の作品だが、明朗で高揚感があり、その後の音楽を象徴している。
 「亜麻色の髪の乙女」は、ドビュッシーの音楽を換骨奪胎して見事な旋律美と叙情を生み出している。
 「君だけに愛を」「花の首飾り」「学生街の喫茶店」など、フォーク・ソングにもクラシックをベースにした品格がある。「ローマの雨」「恋のフーガ」など、ザ・ピーナッツの歌にも名曲が多い。
 東京メトロポリタン・ブラス・クインテットの演奏では、これらの旋律美を金管楽器のやわらかい音色で表現し、古雅な趣すら感じさせてくれる。

 アニメにおいても作曲で活躍した。ことに素晴らしいのは、「伝説巨神イデオン」の音楽である。異世界にいやおうなく突き進んでいく若者たちを象徴するオープニングの曲も見事。なにより、エンディングの「コスモスに君と」は、アニメ音楽で最も美しい曲のひとつと思っている。
 「帰ってきたウルトラマン」の主題歌は朝日にきらめくような素晴らしさ。ああ、帰ってきたんだという安堵感と高揚感で、真に勇気と希望を与えてくれる。

 すぎやまこういち氏は2021年9月30日に逝去されてしまったが、生み出された音楽は、その豊かによってずっと心を支えてくれる。 

東京メトロポリタン・ブラス・クインテットPlaysすぎやまこういち・ソングス

交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁

 「ドラゴンクエストV」天空の花嫁は、シリーズの中でも特に優れた脚本であった。プレイヤーの気持ちに寄り添うすぎやまこういちの音楽があまりに素晴らしく、脚本と音楽が一体となり「ドラゴンクエストV」はRPGの傑作中の傑作となった。
 交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁は、作曲者本人の指揮で、NHK交響楽団が演奏するこの上ない豪華な音楽。高揚感、優しさ、喜悦、不安、焦燥感、怒り、悲しみ、達成感、およそあらゆる感情が音楽で見事に表現されている。プレイの体験とあいまって、クラシックでありながら、聴き手の心の振幅を大きく広げる。
 この音楽に身をひたすことは至高の喜びであった。すぎやまこういちのゲーム音楽における偉業が凝縮されたアルバム。

交響組曲「ドラゴンクエストV」天空の花嫁

アニメ・ミーツ・ジャズ

 「アルプスの少女ハイジ」「サザエさん」「ドラえもん」など、アニメの名曲がジャズで奏されるCD。  原曲の良さを生かしながら、変化に富んだおしゃれな雰囲気を味わえる。もたれない加減のアレンジが良い。セッションの楽しさが伝わってくるアルバム。

ANIME meets JAZZ

マンハッタン・ジャズ・オーケストラ・プレイズ・ディズニー

 「パイレーツ・オブ・カリビアン」「メリーポピンズ」「美女と野獣」「アラジン」など、ディズニー映画のテーマ曲をモチーフにしたマンハッタン・ジャズ・オーケストラによる、ジャズ・アルバム。
 名曲が多彩なアレンジで躍動感のある音楽になっている。
 旋律の美しさを生かしたゴージャズなビッグバンドジャズ。

マンハッタン・ジャズ・オーケストラ・プレイズ・ディズニー

風姿~忘れがたき男たち

 「七人の侍」「用心棒」「居酒屋兆治」「仁義なき戦い」「あにき」「赤ひげ」
 三船敏郎、高倉健、そこに居るだけで人生の重みが伝わってくるような男たち。その姿を見ているだけで心に迫る数々の映画やドラマ。その主題曲を山下洋輔、秋田慎治がジャズ風にアレンジし、演奏するCD。
 男の気骨を体現する曲をヴィヴィッドに表現した、陰影と叙情が交錯するアルバム。

風姿~忘れがたき男たち

式町水晶 希望への道

 ヴァイオリニスト式町水晶による2ndアルバム「希望への道」。前向きな姿勢が音楽に反映され、澄んだ音色で勢いよく演奏される。名曲とオリジナルが交互に収録され、内容もヴァラエティに富んでいる。明るく励まされるアルバム。

希望への道

江崎昌子 ショパン:ワルツ全集

 ピアノの詩人といわれるショパンの曲の中でも、ワルツはことにその感がある。初期の大規模でヴィルトオーゾな曲が、徐々に内省的な趣きとなっていく変化も、人生の移ろいを思わせるようで惹かれる要素の一つである。
 江崎昌子の演奏するピアノも、繊細な表現で一曲一曲の特質を浮き上がらせ、詩が織りなされるようなアルバムになっている。

ショパン:ワルツ全集

アカペラ・クリスマス

 ジャズ・コーラス・グループのマンハッタン・トランスファーによる初の全編アカペラ・アルバム「アカペラ・クリスマス」。
 冒頭の「ジングル・ベル」から、その精妙で洗練されたハーモニーに魅了される。アレンジも凝りに凝っており、高度な掛け合いがなされているが、それを実にナチュラルに歌うところが世界最高峰たるゆえんであろう。
 コーラスの見事さに感嘆するとともに、この上ない楽しさを与えてくれる最高のクリスマス・アルバム。

アカペラ・クリスマス

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