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わが子に教える作文教室

 「蕎麦ときしめん」など、ユーモア溢れる小説を手がける清水義範が、子どもたちの作文を豊かなものにするためのヒントを記した作品。自ら行った小学生への作文教室での作品を示しながら、親がどのように声かけをしたら子どもたちが楽しく書くようになるか、表現が豊かになるのかを語っている。
 素直に気持ちの動きが感じられる作文は、読んでいて気持ちがいい。そんな自然な作文や、読む人へのちょっとした配慮など、書き手のその後に繋がるような文章にする工夫が暖かく述べられ、読後感も良い。
 また、運動会での心の動きがほとんど書けない子が、「タイタニック」など船の事故についての作文をし、調査報告などに優れた力を見いだした点にはたいへん興味をひかれた。文学的な作文のみでなく、論述的な作文に才能を発揮する子もいるなど、作文においても個性を見いだすことが教育の役割であることを感じさせられる。
 すらすらと楽しく読める本であるが、中身はしっかりとしている。子どもを寛やかに見てゆっくりと伸ばしていく姿勢には教えられるところがある。

わが子に教える作文教室 (講談社現代新書)

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