司馬遼太郎が語る 第8集

 「医学が変えた近代日本」という演題で、1988年に順天堂大学で行われた司馬遼太郎の講演。
 江戸時代に西洋から伝えられた医学は、「自由」「平等」という思想の種を宿し、幕末日本に大きな影響を与えた。ポンペや彼に学んだ松本良順、順天堂において医療技術を高めた佐藤舜海の話を交えた具体的な話はたいへん興味深い。
 また、医者は「患者の最後の友」であるべきという基本的な考えを歴史から指し示し、内容、気概ともに実に素晴しい講演。

司馬遼太郎が語る 8 医学が変えた近代 [新潮CD]

記憶にございません!

 正月、家族で三谷幸喜の映画「記憶にございません!」を視聴する。頭に石があたり記憶を失った総理大臣を中井貴一が演じている。
 政治がどうのではなく、リクツ抜きに気楽に見られる喜劇である。三谷組の個性的な面々が出演し、ヴァラエティに富んだ群像劇になっている。とりわけ、秘書をつとめる小池栄子が実にいい味を出していた。
 年始め、ちょっと気持ちをリセットできた映画であった。

記憶にございません!

わかるPython

 2021年、学校教育においてプログラミングの学習をどう進めるか、問われる年になるだろう。
 文部科学省のGIGAスクール構想の一環として、一人一台のノートパソコンやタブレット端末が配備された。これをどう生かすか、その活用の方向を見定めていく年にもなる。
 手元にパソコンがあるため、プログラミングを学ぶことで児童・生徒自身も活用の幅が広がってくるはずである。プログラミング教育の意味合いはより大きくなっていくであろう。

 現在、デスクトップパソコンで初学者はスクラッチなど「ヴィジュアル系」の言語で学ぶケースが増えている。しかし、本来は「言語」であるため、テキストベースのプログラミングをどこかで学ぶ必要があるだろう。どの言語で何を学ぶか、選択肢はあまりに多い。

 Python は、多くの言語の中でも書法がシンプルで、科学技術計算との親和性もよく、学習に適した言語のひとつと思われる。人工知能の開発に使われることもあり、応用にもつながる言語である。
 数学・理科との連携を見据えた点においても、たいへん優れた学習用プログラミング言語である。今後、教育における活用の幅が広がっていくと思われる。

 Python に関する書籍は様々あるが、「わかるPython」は、初心者にとって学びやすい本のひとつである。まず、レイアウトが工夫されており、見やすい。シンプルな例題をもとに文法が丁寧に説明されている。
 オブジェクト指向、ライブラリの活用までふれられ、実践の方向が見えてくる構成になっている。教育的配慮のよくなされた良書と感じた。

 ソフトウェアやネットワークの重要性が増していく現在、日本が国際社会に伍していくためにも、理数教育の充実は急務である。プログラミング学習は、その鍵を握っている。
 一人一台が実現するとき、いかに質の高い教育につなげていくか。本年はその可能性を追究し、教育の充実を図る正念場になるであろう。

わかるPython[決定版]

スーパーカミオカンデ

Utyusenkenkyujo

 2020年、多くの逝去された著名な方々がおられたが、とりわけ感慨深かったのは11月12日に亡くなられた小柴昌俊氏の訃報である。氏はニュートリノ天文学を開拓し、2002年にはノーベル物理学賞を受賞された。
 実際にお会いしたのは、大学の研究室における先輩の結婚式で仲人としていらしたときである。帝国ホテルでの式に参加し、良き時を過ごすことができた。

 その先輩とのご縁もあって、2009年3月、スーパーカミオカンデの内部を家族で見学することができた。
 岐阜県の山中にある施設の入口が最初わからず、ガードレールもない急峻な崖沿いの狭い道をどんどん上っていった。遥か下に川が見える崖から転落する恐怖におびえながら車を運転し、頂上に近い所で行き止まりになってようやく行き過ぎたことに気付き引き返した。
 施設の入口は、シャッターがひとつあるだけの何の変哲もない寂しい場所であった。ほどなくシャッターが開き、東大の先生が運転する専用車両が出てきてホッとした。
 子どもたちは宇宙線研究所で借りたヘルメットをかぶり、懐中電灯を手にして冒険気分で楽しそうであった。
 錆びたバンで鉱山跡の奥深くまで乗っていき、ようやく施設にたどり着く。内部には狭い部屋があり、壁を大きく占めるモニターには色とりどりの点が明滅していた。地下の巨大な水槽に据え付けらている光電管で捉えた素粒子を示すものであった。宇宙の真理を解明する試み、純粋に知的な営みが静かになされていることに感銘をおぼえた。基礎科学の重みを実感した体験であった。

 2020年はコロナ禍でイレギュラーなことが多い1年であった。それだけに、普遍的な科学への関心を高めることの重要性を痛感する年であった。

 「ミクロとマクロは繋がっている」
 小柴氏の言葉は、今も大切な視座を与え続けてくれる。

 2009年3月21日 スーパーカミオカンデ

電脳コイル

 NHKで2007年に放送されたSFアニメ「電脳コイル」。磯光雄監督、全26話。
 電脳メガネという端末により、数々の情報にアクセスできる近未来、小学生たちが様々な経験をするドラマ。
 前半は1話完結のエピソードであるが、後半はあるテーマに向かって話が進んで行く。
 北陸の都市をおもわせる背景の美術が素晴らしい。神社などが街角に普通にある町で、小学生たちは電脳のテクノロジーを駆使して互いに交流や反目を繰り返す。この古い面影を残す街と、細かい設定がなされたテクノロジーが混じり合った世界観が独特で、心地よさと違和感が絶妙なバランスをもっている。
 小学生たちもそれぞれの背景が丁寧に描写され、表面的な学校ドラマに終わらない深みをもっている。
 磯光雄の緻密なSF設定と動画技術が融和した、イマジネーション豊かなアニメーション。  

電脳コイル Blu-ray Disc Box

エリジウム

 スペース・コロニー「エリジウム」では、富裕層が豪華な暮らしをしていた。一方、地球は荒廃し、劣悪な環境で人々は暮らしていた。主人公は、自らの病気を治すために、地球から脱出しエリジウムに向かうことを画策する。
 スペース・コロニーの造形美が見事で楽しませてくれる。様々なデザインに彩られたSFエンターテイメント。

エリジウム (字幕版)

ディープ・インパクト

 巨大な隕石による人類滅亡の危機。この設定でいくつもの映画が作られている。その中でも、「ディープ・インパクト」は、ダイナミックでリアルな映像と人々の姿をしっとりと描くシナリオが見事に融和した味わいのある作品。
 ティア・レオーニ演じるニュース・キャスターが隕石接近の事実に触れていく運びがとてもうまいと思った。隕石の破壊に向かう宇宙船の船長ロバート・デュヴァルが、目を負傷した隊員に「白鯨」を読むなど、繊細な演出が心憎い。モーガン・フリーマンの演じる大統領の真摯な姿も印象的。人々の理性を全面に出している映画。

ディープ・インパクト (字幕版)

ザ・コア

 地磁気の異常で起る人類の危機を回避するため、地球内部に潜行するというSF。
 「アルマゲドン」のようでもあり、「海底2万マイル」の雰囲気もあり、「ミクロの決死圏」風な感じもあり、「鳥」を彷彿させるシーンもあり、「インデペンデンス・デイ」を思わせる節もある。とにかく使えるアイデアは何でも取り入れようという貪欲なまでの創作意欲に恐れ入る。
 冒険する若き科学者、行動的な女性、マッド・サイエンティスト、ハッカー、権威の象徴など、アメリカ映画で典型的な人物たちが登場する。
 序盤の、スペース・シャトルがロサンゼルスの真ん中に着陸するシーンなどは素直にすごいと思った。サービス精神が横溢した、アメリカ風てんこ盛りSF。

ザ・コア (字幕版)

コンタクト

 ジョディ・フォスター主演の「コンタクト」は、宇宙からのメッセージを受け取る人々を描いた壮大なSF映画。天文学者カール・セーガンの原作を基にしており、科学と政治、宗教との関わりまで盛り込まれている。
 迫真の映像と、知的好奇心を呼び起こすストーリーで、一気に最後まで見せる。SFの醍醐味を伝える感動の名作。

コンタクト (字幕版)

ソイレント・グリーン

 ベートーヴェンの交響曲第6番を聴くと、SF映画「ソイレント・グリーン」を思い出す。「田園」があれほど効果的に使われた例はないのでは。

ソイレント・グリーン  (字幕版)

アクセスランキング

Ajax Amazon

  • Amazon.co.jpアソシエイト
  • UserLocal
  • Ajax Amazon
    with Ajax Amazon