ワルター マーラー第1番
ブルーノ・ワルター指揮、コロンビア交響楽団演奏のマーラー交響曲第1番。久しぶりに聴いたが、実に新鮮な感じがした。第1楽章では、まさしくマーラーの青春の歌とよぶにふさわしいみずみずしさがある。1960年前後の録音だが、良好な音質である。美しさと共に微妙な陰影を持たせた表現は、至芸と言っていいのではないか。
なんといっても、愁眉は第3楽章である。この独特な雰囲気はなんと形容していいのだろうか。マーラーのその後のすべての交響曲に連なる、不安、諦観、葬送、複数の場所から鳴り響く音の重なり合いなどの要素が凝縮された楽章である。ワルターの生み出す響きは、マーラーの世界の深みに否応なくいざなってくれる。
マーラー:交響曲第1番
ワルター(ブルーノ) マーラー
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