アファナシエフ プレイズ・エンペラー
アファナシエフのピアノによる、ベートーヴェンピアノ協奏曲第5番のCDを聴く。ユベール・スダーン指揮、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団演奏。
まさしく、エンペラーと呼ぶにふさわしい絢爛豪華な曲だが、この演奏は、ちょっと様相が違った。第1楽章で最初の和音が鳴ったときは、おおっベートーヴェン!ピアノの音も良い!と期待した。しばらくはゴキゲンで聴けたのだが、しばらくしてテンポがどうもいつもと違う感じ。早くなったり遅くなったりと、ブレがあるのだ。かといって、それが不快というのではなく、ピアノは強靱なタッチで一音一音が明瞭、何か強力な意思を感じる。
第2楽章はいよいよ思索的になり、クリアでよく響くピアノなのだが、どこか孤独な雰囲気を漂わせている。
第3楽章のピアノの奔放さは、奏者と作曲家との間の談論風発なのだろうか。少なくとも、聴衆との対話ではないと感じた。
孤高の芸術家と絢爛たる協奏曲との組合せは、聴いている自分のアンビバレンスを映すようであり、不思議な後味を残す演奏だった。
アファナシエフ・プレイズ・エンペラー!
アファナシエフ(ヴァレリー) スダーン(ユベール)
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