ボッコちゃん
星新一の「ボッコちゃん」は、最初に自分で買った文庫本だった。小学校6年生頃だったろうか。ショート・ショートという、一編が10ページにも満たない話であるが、どれもウィットに富み、シャープな感覚にあふれていて好きだった。本をよく読むきっかけになった。
「ボッコちゃん」に収録されている話ではないが、うらぶれた催眠術師が動物園で戯れに「おまえは人間だ」と象に暗示をかけて立ち去った後の象の話などは、いまでも考えさせられる。
何もしない機械の話や、拾った鍵にあう扉を一生求め続ける話など、ずっと印象に残っているストーリーも多い。
イソップの寓話のように時代を超えて語りかける星新一のショート・ショートは、ふとしたきっかけで心によみがえってくる普遍的な魅力を持っている。
ボッコちゃん
星 新一
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