どろろ
肉体を48匹の魔物に奪われた百鬼丸と、コソ泥の子供どろろ。百鬼丸が妖怪を退治する度に肉体の一部が取り戻される。その着想と巧みなプロットが光る手塚治虫の長編漫画「どろろ」。
妖怪退治という内容なので、子供の頃に何回分かは読んだが、あまり興味を持たなかった。しかし、最近全編を読んでみて、あらためてそのアイディアの豊かさと物語に惹かれた。何より、手塚自身が百鬼丸やどろろのキャラクターに愛着をいだき、ノリにノって描いていることが伝わってくる。
戦争の悲惨さや人権問題を根底に持ちつつ、見事なシナリオと躍動感のある表現で読み手を飽きさせない。
肉体や感覚を極限まで失いながら、医師によって助けられ、自ら生きる力を身につけていく主人公。過去を背負った孤独な百鬼丸とどろろの姿は、退治する対象を妖怪から病気に変えて、ブラック・ジャックとピノコに受け継がれていく。「ブラック・ジャック」の源流と言える傑作。
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