柳家小三治 子別れ(通し)
柳家小三治による、「子別れ」上・中・下の通し口演のCDを聴く。
「子別れ」は、「下」が名作の誉れ高い。しかし、「上」の葬式帰りに吉原に寄る熊五郎の酔態、「中」の熊五郎と奥さんとのやりとりをじっくりと聴いた後、「下」に接すると、熊五郎の変わりようが鮮烈に感じられ、登場人物によりいっそう心を寄せられた。
2時間に渡る長丁場の落語だが、小三治の気迫のこもった語りにぐっと引き込まれた。真っ向勝負で人物の心のひだを表現した「下」の人情噺には、さすがに泣かされた。
ひとりが複数の人を演じる落語の凄みを実感させられる記念碑的口演。
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