学校評価―情報共有のデザインとツール
誰でも、いい学校に子どもたちを通わせたいと思う。では、いい学校とは、どんな学校なのだろうか。また、子どもたちが通っている学校では、何を目指してどんな教育が行われているのだろうか。
学校評価は、学校の目指す姿と、それに向かうための具体的な方法、実施した結果を公表するものである。それにより、教職員だけでなく、保護者や地域の人々と学校の目指すものを共有し、学校の改善につなげるためにある。
従来、学校教育は「評価」になじまないとされてきた。人格の形成には時間がかかる、教育の成果は一朝一夕には表れないという、「あいまい」な理由で評価を避けてきた面が少なからずある。
しかし、昨今の教育改革で、多様な学校の形が広がり、また、地域が学校を支える様々な取り組みがなされるようになった。皆で学校を作っていくとなると、やはり目指すべき姿を共有することが重要となる。そして、改善の方向を協議する場と、取り組みの結果を振り返る指標が必要となる。
本書は、「評価」を全面に出し、学校を良くするための情報共有プロセスをデザインする重要性を訴えている。イギリスやアメリカの「ハード」な学校評価を紹介しており、日本の学校評価を考える上でも示唆に富む。また、具体的な評価ツールを紹介し、学校評価がシステムとしてうまく機能する方策を提示している。
「学校をよくしよう」という思いを実現するために、保護者・地域と学校をつなぐ「学校評価」の役割が実際的に記述された良書。
学校評価―情報共有のデザインとツール
金子 郁容
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