クーベリック 幻想交響曲
クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団によるベルリオーズ「幻想交響曲」には、意外性に心打たれた。洗練された音色と不気味な前兆を持った第1楽章から引き込まれ、第3楽章にときおり現れるおろどおどろしさにはっとさせられ、第4楽章の燃焼度の高さに圧倒された。
そして、第5楽章、これぞ、この演奏の真骨頂。いままでの楽章が伏線であったかのように、一気に密度の濃い世界に投げ込まれる。ベルリオーズの情念と世界観をこれほど豊に表現した演奏がかつてあっただろうか。極めて優れた録音のせいもあり、オーケストラがひとつとなり押し寄せる感じを覚える。幻想交響曲とは、こんなすごい曲だったのか!
「幻想交響曲」の新たな魅力を伝える、渾身の名演。
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