パストラーレのひととき

　アガサ・クリスティの作品は、殺人事件を扱っているにもかかわらず、お気に入りのテーブルクロスを前にティー・タイムのひとときを味わうような気持ちになれる。
　「アクロイド殺人事件」は、あまりに有名な推理小説で、犯人をしりつつ読んだのだが、それでも充分に楽しめた。それは、クリスティの語り口があまりに見事で、その場に身を置いていたいと感じさせるからだろう。
　自分が中学生となり初めて読んだ推理小説であり、読み終えたときの充足感が忘れられず、アガサ・クリスティの作品を次々と読むきっかけとなった作品。

アクロイド殺害事件 (創元推理文庫)
アガサ クリスティ Agatha Christie