ドクターX 第1シーズン 8
「私、失敗しないので」
ドクターX第1シーズン最終話では、天才外科医大門未知子が、組織に与えた影響が描かれる。風呂敷を丁寧にたたむような回で、脚本が冴えに冴えていた。
医療という重い題材を扱いながら、登場人物の個性をくっきりと打ち出し、派手な言動でコミカルなムードを作っており、気楽に見られた。しかし、手術シーンの描写には緊迫感があり、惹き付けられた。その緩急のペースにも巧みさを感じた。
キャラクターをくっきりとさせる手法は、このような単発のドラマでは生きている。しかし、歴史のうねりを見据える大河ドラマに適用した場合には、人々の軽さや単純さが強調され、歴史描写の薄さに繋がりかねない。現に「西郷どん」では、歴史の流れがほとんどつかめない大河になってしまっている。主人公がナサケに偏り、その言動がすべてを解決に導くような描き方になっていることも、史実から離れてしまい大河の品格を貶めている一因ではないか。
とはいえ、「ドクターX」は俳優陣の豪華さもあいまって、エンターテイメントとしてはたいへんに楽しめる作品になっていた。
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