蜜蜂と遠雷 音楽集
恩田陸の小説「蜜蜂と遠雷」のコンサートで演奏されたピアノ曲を集めたCD。2枚組で、1枚目はピアノソナタ、2枚目はピアノ協奏曲が収録されている。
解説書には、恩田陸が語る登場人物の思いがあり興味深い。ピアノ曲の解説と小説での表現も載っており、読んだときの感慨がよみがえる。
ピアノの表現と文学の豊かさを同時に伝えてくれるアルバム。
恩田陸の小説「蜜蜂と遠雷」のコンサートで演奏されたピアノ曲を集めたCD。2枚組で、1枚目はピアノソナタ、2枚目はピアノ協奏曲が収録されている。
解説書には、恩田陸が語る登場人物の思いがあり興味深い。ピアノ曲の解説と小説での表現も載っており、読んだときの感慨がよみがえる。
ピアノの表現と文学の豊かさを同時に伝えてくれるアルバム。
酒見賢一の小説「墨攻」は、中国の春秋戦国時代を舞台とした歴史小説。趙に攻められる小城を救うため、墨子である革離は自らの信念に従い単身城に赴く。城の守備にあらゆる策を講じ、大軍を待ち受ける。
非攻の哲学をもつ集団「墨子」の思想を、城での戦いを通じて描き出す。迫真の攻城戦、敵味方双方の心理描写など、物語の魅力にあふれている。
無類の面白さをもった歴史小説の傑作。
ヒトやモノの移動をスムーズにし、ユーロ導入など一大経済圏を構築したEU。ヨーロッパ統合の理念を形にした壮大な社会実験である。しかし、大量の移民流入やイギリスの離脱決定など、多くの試練に直面している。この先、EUはどうなっていくのか。
EUの直面する課題を、豊富な知見と政治学的な視点で明らかにする書。EUの歴史的経緯や度重なる危機も詳らかに記されている。
理念を形にすることの難しさをまざまざと感じさせてくれる。それでも、EUを世界的規模の一大組織に発展させた人々の並々ならぬ労苦と意志が行間から伝わってくる。
本書では触れられていないが、EUは広域な文化活動を支援し人類への貢献を志向する組織でもあり、その価値は決して小さくない。
EUの実相を提示し、現在の社会を俯瞰する上でも多くの示唆に富む良書。
九ちゃん 「『ごめんなさい』って言われたら、けんちゃんなんて言う?」
けんちゃん 「『いいですよ』って言うな。」
九ちゃん 「それそれ、それが "That's all right." さ。」
「モクモク村のけんちゃん」は、1970年代当時のTBSブリタニカの英語教材として製作された紙芝居。カセット5巻に収められた物語で、当時小学生だった自分は何度聴いても飽きなかった。美しかった村が遠くからの煙によって汚い空気と川になってしまい、元の村に戻すためにけんちゃんが冒険をする物語。暖かみのある絵と、明瞭なストーリーにより、自然と英語の世界に引き込まれていく。環境問題を予見した内容でもあった。
けんちゃんが冒険をする国が、英語で話されているという設定が秀逸で、聴き手は、けんちゃんが言葉を覚えていく過程で自然と英語に馴染んでいく。案内役の九官鳥の九ちゃんを通じて、英語の意味がわかるようになっており、実に見事な脚本。小学校英語活動においても参考になる要素がある。
永らく入手困難な幻の教材であったが、最近、ブリタニカ・ジャパンよりパソコン用のデジタル紙芝居として復刻された。
子ども用英会話教材の金字塔ともいえる優れた作品。
白洲正子の「樺山資紀」「青山二郎」「補陀落渡海」を、奈良岡朋子が朗読したCD。
祖父であった樺山資紀の記憶。それは、明治の気質を切り取った文章でもある。歴戦の士であり、幾多の要職についた樺山資紀が、朝食の目玉焼を刻んでスズメに餌をあたえる場面はいたく印象に残った。
青山二郎に師事し、小林秀雄らと交流のあった時を描いたエッセイもたいへん興味深い。
補陀落渡海は、平家物語の平維盛のエピソードを綴りながら、入水と信仰に思いを馳せる。
奈良岡朋子の語りが、文章に香る美学を見事に表出している。
小玉ユキの漫画を原作とする映画「坂道のアポロン」。佐世保を舞台に、ジャズに惹かれる若者たちの友情と恋愛を描く。
ジャズのセッションが心地良い青春映画。
「世界の中心で愛をさけぶ」の著者、片山恭一が、アメリカ西海岸を旅しながら綴ったエッセイ「世界の中心でAIをさけぶ」。
人工知能などのデジタルテクノロジーが支配する人間社会は、どこに向かうのか。テクノロジーの中心であるシアトルを出発し、マウント・レーニアなどの自然豊かな地をめぐり、人類の未来に思いをはせる。そこでは、現在広がりつつあるテクノロジー中心社会の様相と、人々の営みに対する考察が該博な知識をもとに展開される。
テクノロジー論と気楽な旅が織りなす、奥行きのあるエッセイ。
「世界の中心で、愛をさけぶ」は、行定勲監督による2004年公開の映画。
片山恭一の小説を原作とするが、写真館が重要な位置を占めるなど大幅な脚色がなされている。ウォークマン、カセットテープなど1986年当時の状況を生かした設定がされている。
過去を振り返る大沢たかお、柴咲コウの演技もいいが、高校生アキを演じる長澤まさみが素晴らしい。スタッフの力量もあるのだろうが、彼女自身の役者魂を感じさせられた。
片山恭一による「世界の中心で、愛をさけぶ」は、地方都市を舞台とした恋愛小説。中学・高校と同級であったサクとアキは、互いに惹かれていくが、アキは病により衰弱していく。
知的な会話と、巧みな比喩を用い、透明感のある文章となっている。全体をおおう喪失感が胸に迫る作品。
アニメ「ゴールデンカムイ」第24話は、「呼応」。第2期の最終話であるが、その後への期待が高まる。
金塊争奪戦を軸としながら、アイヌの風習、郷土の食、明治の文化を取り入れ、てんこ盛りの展開で毎回楽しませてくれる。なにより、北海道の自然描写がすばらしい。
泉のごとく湧き出るアイディアが輝きを放つ、超弩級エンターテイメント。
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