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アファナシエフ ブラームス:後期ピアノ曲集

 アファナシエフの弾く、ブラームス晩年のピアノソナタ、作品117、118、119。この珠玉の小品を、アファナシエフはゆったりとしたテンポで、一音一音を味わうように奏でる。
 作品117は晩秋の木漏れ日のような抒情をたたえる。その繊細な旋律はたとえようもなく美しい。作品118の不安と安らぎが交錯する音楽は、いままでの人生を振り返るかのようである。最後の作品119は、諦観という言葉では片づけられない、様々なニュアンスを持っている。クララ・シューマンは、第1曲を「灰色の真珠」とよんだ。
 117-1、117-2、118-2、118-5は、何度聴いてもため息が出る。
 独白のような曲であるのに、静かに寄り添ってくれる。まさしくブラームス、至高の名盤。

ブラームス:後期ピアノ曲集
アファナシエフ(ヴァレリー) ブラームス
B000066ILS

太陽の黙示録 後編-国境-

 日本を襲った大震災は多くの難民を生む。台湾では、日本人難民と台湾市民との間の緊張が高まる。
 日本の震災後の分断統治を背景とし、人々の先頭にたって行動する柳舷一郎を主人公に、骨太のストーリーが展開される。文庫本の4巻までにあたる序章を、ダイナミックに描いたアニメーション。

太陽の黙示録 後編-国境-
松田洋治 小山力也 森川智之
B000K2UDI2

太陽の黙示録 前編-海峡-

 かわぐちかいじのコミックを原作としたアニメーション「太陽の黙示録」。日本全土を襲った大震災により、日本は南北に分断される。政府は米中両国による南北分断復興案を受け容れ、日本は北と南に分かれて統治される形になる。
 この壮大な物語の序盤部分を小島正幸監督は丁寧に作画し、見る者を釘付けにするドラマに仕上げている。

太陽の黙示録 前編-海峡-
松田洋治 小山力也 森川智之
B000K2UDHS

高崎哲学堂「ウェグナーに座ろう」

Tetugakudo_01  高崎哲学堂に家族で行く。高崎哲学堂は、市内の実業家であり地元の文化に多大な貢献をした井上房一郎(1893~1993年)氏の旧私邸。普段は開放されていないが、高崎デザイナーズアクト主催の企画展「ウェグナーに座ろう」が開催されていたので、中に入ることができた。
Tetugakudo_02  ハンス・J・ウェグナー(1914~2007年)は、デンマークの家具デザイナー。企画展では、邸宅の内外にある椅子に実際に座ることができた。見た目も美しいが、座ると実に心地よい。静かな環境音楽が流れており、いつまでも座っていたい気分になった。木の温もりに溢れた邸宅内も趣があり、ほんとうにくつろげる空間だった。

Kuma_01  高崎哲学堂を出た後、隣にある高崎市美術館に行く。三沢厚彦氏による、木彫りの動物が多数展示されていた。ユーモラスな雰囲気がある動物たちに囲まれた空間を、子どもたちも楽しむ。壁に張り付いたヤモリなどの隠れキャラクターを探して喜んでいた。

Karasugawa_01  台風一過で、高崎公園から眺望する観音山に沈む夕陽も美しい。やはり自然の造形は何にもまして心を和ませる。
 様々なアートに触れることのできた快晴の日であった。

ハンス・ウェグナーの椅子100 (コロナ・ブックス)
織田 憲嗣 丸山 彰一 林 義夫
4582633986

ハイフェッツ メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

 ハイフェッツの胸のすくようなヴァイオリン演奏が味わえる、2大名曲が収められたCD。
 メンデルスゾーンの協奏曲では、シャルル・ミュンシュ指揮するボストン交響楽団も熱い演奏を繰り広げ、聴き応えがある。
 チャイコフスキーの協奏曲は、ハイフェッツとフリッツ・ライナー指揮のシカゴ交響楽団が見事に感応しあった、格調高い名演。

メンデルスゾーン & チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 他
ハイフェッツ(ヤッシャ) チャイコフスキー メンデルスゾーン
B00005EGW5

EPO UVA

 UVA(ウーヴァ)は、EPOのが1995年に行った中南米ツアーのもようを中心にしたMADURA(完熟)と、スタジオライブによる名曲集VERDE(青い)の二枚のCDで構成されている。
 「京都慕情」「恋はやさしい野辺のの花よ」「さとうきび畑」など、ひたひたと胸に迫る曲が多い。笹子重治によるギターの伴奏とともに、EPOの歌が静かにしみ入る、癒しのアルバム。

UVA(EPO WORKS 2
笹子重治 EPO 宮沢賢治
B00005GLPF

グラン・タンゴ

 趙静(チョウ・チン)のチェロ、松本和将によるピアノのデュオ・アルバム「グラン・タンゴ」を聴く。ピアソラの表題作の他、ショパンのチェロ・ソナタとショスタコーヴィチのチェロ・ソナタを収める。
 チェロの響きの美しさは格別。ロマンチックかつダイナミックな演奏に魅了される。

グラン・タンゴ
趙静 ショパン ショスタコーヴィチ
B00009WKRF

雨音はショパンの調べ~松任谷由実作品集

 「きのうに乾杯」「追想」「恋人がサンタクロース」「時をかける少女」「甘い予感」など、松任谷由実が他のアーティストに提供した楽曲の作品集。
 やさしく、たおやかな歌詞にセンスが光る。

雨音はショパンの調べ~松任谷由実作品集
小林麻美 原田知世 モダンチョキチョキズ
B00005G5Y4

パーシー・フェイス

 「夏の日の恋」などで知られる、パーシー・フェイス・オーケストラのベスト・アルバム。品のあるアレンジで、安心して聴いていられる20曲。

パーシー・フェイス
フェリシア・サンダース パーシー・フェイス・オーケストラ スタン・フリーマン
B00009WKX4

ポアンカレ予想

「単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相である」

 この100年間、数学者を苦しめてきた難問、ポアンカレ予想。それが最近、ロシアの数学者、ペレリマン博士によって証明された。しかし、ペレリマン博士は、フィールズ賞の栄誉を拒否し、隠遁してしまった。
 NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか~天才数学者 失踪の謎~」では、ポアンカレ予想の概要と、証明を果たしたペレリマン博士を追ったドキュメンタリー。
 数学を扱った内容だが、ドラマチックな展開であり、たいへん興味深く見られた。ペレリマンの証明については、もう少し詳しく説明してほしかったが、数式を使わない解説では、これが限界なのだろう。
 NHK総合テレビで10月22日に放送されたが、それに先駆けて10月1日にBSハイビジョンで放送されたときのタイトルは、『数学者はキノコ狩りの夢を見る〜ポアンカレ予想・100年の格闘〜』であった。これではまるで、映画「ブレードランナー」の原作である、フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のパロディである。「キノコ狩りの夢」と茶化すようなタイトルにするにはもったいないほど、惹き付けられる内容であった。

100年の難問はなぜ解けたのか~天才数学者 失踪の謎~

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