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ベイカー街の亡霊

 劇場版名探偵コナン第6作「ベイカー街の亡霊」は、野沢尚が脚本を手がけた。シャーロック・ホームズゆかりの英国を舞台にするために、何度も想を練り、脚本を書き直したとのこと。物語がしっかりとした映画に仕上がっている。
 野沢尚は、「破線のマリス」で第43回江戸川乱歩賞を受賞するなど、推理小説作家としても活躍していた。本格推理小説の祖とも言えるコナン・ドイルが生んだ、ホームズにちなんだ作品を創ることには、思い入れもあったのではないか。この映画では、ドイルへのオマージュのように、ホームズ・シリーズゆかりの登場人物や地名がたくさん登場する。

 「青い鳥」「眠れる森」「緋色の記憶」など、多くの優れた作品を生み出した野沢尚は、NHKスペシャル・ドラマ「坂の上の雲」の初稿を残して自殺してしまう。作品は高く評価され、今後も期待がされていたのに、なぜ死を遂げたのかは余人の知るところではない。しかし、きっちりと構成された職人芸的で、しかもなお透明感と奥行きのある作品世界は、今後も生き続けるであろう。

天国へのカウントダウン

 劇場版名探偵コナン第5作「天国へのカウントダウン」。西多摩市にそびえるツインタワービルをメインの舞台としたミステリー。
 本作では「黒の組織」が劇場版として初めて全面に出る。殺人事件と組織の暗躍が交錯し、サスペンスの趣が強い。また、後半はパニック映画のような怒濤の展開になだれ込む。

劇場版 名探偵コナン 天国へのカウントダウン

瞳の中の暗殺者

 劇場版名探偵コナン第4作「瞳の中の暗殺者」。警察関係者が相次いで襲われる事件に、コナンの正体である工藤新一の幼なじみ、毛利蘭が巻き込まれる。
 新一と蘭との思い出の場所となった遊園地、トロピカルランドのシーンが多く、アトラクションを駆使した後半の展開にはことに力が入っている。
 ミステリーとしての要素が色濃く、シリーズ中でも犯人の設定が際立っている。バランスの良い脚本とサスペンスに支えられた、優れた恋愛ミステリーとなっている。

 白鳥警部役の声優、塩沢兼人は、本作の公開直後に転落事故で亡くなってしまう。
 「Need not to know」の美声が今でも耳朶の奥にこだましている。

瞳の中の暗殺者

世紀末の魔術師

 劇場版名探偵コナン第3作「世紀末の魔術師」。コナンの宿敵「怪盗キッド」が劇場版として初めて登場する。
 今回はコナンの行動範囲が広く、大阪、豪華客船、古城と舞台が移っていく。これまでの作品同様、背景美術に優れており、旅をしている雰囲気にひたることもできる。
 秘宝をねらう怪盗、ロマノフ王朝の遺産、鬱蒼とした古城など、古典的ミステリーの趣をふんだんに取り入れた冒険活劇。

劇場版 名探偵コナン 世紀末の魔術師

14番目の標的

 劇場版名探偵コナン第2作「14番目の標的」。13から1までの数字が入った人物が、次々と標的となる事件を描く。ターゲットとなり負傷あるいは殺された人のそばには、名前になぞらえたトランプが残される。
 かなり力業の脚本であり、アイディアをよくここまで形にしたと感心する。探偵毛利小五郎と妻との過去も語られ、メイン・キャラクターに深みを与えている。
 速いテンポで物語が疾駆する意欲作。

時計じかけの摩天楼

 「名探偵コナン」の劇場版第1作「時計じかけの摩天楼」。シリーズ最初の映画ということもあり、数々のアイディアが詰め込まれている。背景の絵がよく描かれており、繰り返し見ることができるのは、街の雰囲気がよく表現されている背景美術に依るところが大きい。
 「新幹線大爆破」「ジャガーノート」など映画へのオマージュもちりばめられ、見所の多い作品。

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