加治隆介の議
政治の世界を描く弘兼憲史の力作。商社マンから、父親の死去に伴い政治の世界に入っていく加治隆介。紆余曲折を経て、官房長官になり、その後も要職を歴任しながら熱く理想を追い求める。
政治家の汚い部分を描く漫画や映画は数多くあるが、この作品は、本気で日本のことを考え行動する人々が描かれている。作者は、政治家、官僚、軍事評論家、商工会議所のメンバーなど500人以上の人々に会い、日本の現状や地方政治の現実など様々な問題を垣間見た。そこで頑張っている人達がたくさんいることを知り、『日本もそんなに捨てたもんじゃないぞという真実を伝えたいという思いが加治隆介になったのです。』と、作者は講談社ミスターマガジン版の最終巻(20巻)あとがきに書いている。
第17・18巻で、加治隆介が防衛庁長官となっている時に、プルトニウム運搬船がテロリストに乗っ取られる事件が扱われている。ここでの政府の対応が極めてリアリティを持って描かれている。映画「亡国のイージス」より、よっぽど説得力のある優れた表現になっている。
日本の漫画の表現技術の高さ、志の高さを世界に示すことができる立派な作品だと思う。
折しも今日、郵政民営化の是非を問う衆議院選挙が公示された。
加治隆介の議 (1)
弘兼 憲史
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