亡国のイージス
亡国のイージスは、ダイ・ハードやホワイトアウト風の作品。日本を代表する俳優を多く使っているが、いまひとつ緊迫感に欠ける。佐藤浩市がこの国は守る価値がないとかなんとか言っていたが、たんなるつぶやきでまるで説得力がない。原田芳雄のぶっきらぼうな首相も悪くはないが、総理というよりは小さい組織の親分という感じ。だいいち、寺尾聰演じる副長は、十数人もの部下を巻き込んでおきながら、何であんな簡単に気持ちを翻すのか?その意思の弱さは、まさしく亡国の象徴。本物の護衛艦を使い、映像の迫力はあったものの、全体にどうも軽く感じてしまう。
同じような内容でも、加治隆介の議で描かれているプルトニウム運搬船のシージャックのほうが、よっぽどリアルに感じた。また、少し昔の作品だが、ブルートレインで自衛隊員が反乱をおこす「皇帝のいない八月」のほうが、いろいろな意味で楽しめたように思う。
ともかく亡国のイージスでは、扱っている題材が重い割に、この切迫感の乏しさはどうしたことか。エンターテイメントとテーマを両立させるのは、よほど優れた脚本がないと難しいということを改めて感じさせられた。
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