人間昆虫記
昆虫が変態するかのように自己を変える奔放な女性と、彼女に魅了され翻弄される男たちを描く手塚治虫の傑作。
大学生の頃、下宿の片隅でこの作品と出会った。何十人もいた比較的大きな下宿で、食堂兼ホールの脇に、読み終わったいらない本を置く場所があった。他の下宿人が手にとり、多くの本が読み回されたものだ。
手塚治虫の名前を目にし、その本をすぐに自分の部屋に持って帰って読み、圧倒された。その実験的な表現の多様さと、めくるめくような人物像は人生経験の乏しい若者にはあまりに刺激的だった。手塚治虫は天才だと心底思った。
20年以上たった今でも、時折この漫画のことが思い出される。
人間昆虫記
手塚 治虫
トラックバック先のURLを見つけたので、トラックバックしてみましたが、エラーになっちゃったので、結局コメントとして書かせていただきます。^_^;
投稿: 小武海 | 2006-01-18 23:05
小武海様
人間昆虫記について、コメントいただき、
ありがとうございます。
手塚治虫の異色作ということで載せさせていただきました。
WM、ばるぼら、奇子など、
手塚治虫の意欲を感じる中編は多いのですが、
本人も読者もいまひとつつっこみが欲しいと感じる
作品群ですが、どれも不思議な魅力を放っています。
人間昆虫記は、それらの作品のうち、自分が最初に触れた
もので、鉄腕アトムやブラックジャックとは趣の違う、
真に大人の作品でした。自分が学生時代に読んだので、
よけいに印象が強いのかもしれません。
投稿: パストラーレ | 2006-01-19 00:16