野沢尚 青い鳥
2004年6月28日、脚本家の野沢尚が亡くなった。首を吊って自殺とのことだ。たいへん味のある、緻密な構成のドラマを作る方だったので、残念であった。
野沢尚が手掛けた作品で特に印象深いのが、豊川悦司主演の「青い鳥」だ。駅長と町の御曹司の再婚相手との逃避行を描く、ロードムービー風のラブストーリー。豊川悦司、夏川結衣、佐野史郎など俳優の個性が実によく出ていた。北海道から沖縄まで、日本各地の抒情を織り込みながら、人々の微妙な陰影が描かれ、引き込まれるドラマだった。
野沢尚は、この作品の脚本を何十回も書き直したという。駅長と母娘との愛情が育っていく様が丁寧に描写され、その後の逃避行に無理なくつなげていくことに随分心を砕いたようだ。練り上げられた脚本に支えられ、透明感のある名作となった。
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