野口英世
長男に音読させている伝記のシリーズ、講談社火の鳥伝記文庫の第1巻が、野口英世。人気の高さがうかがえる。
幼い頃の手のやけど、母の愛、たゆまぬ勉強と研究、支える人々との出会い、世界で認められる業績、悲劇的な最期、まさに伝記とするにふさわしい生涯である。
この伝記は子ども向けではあるが、単に野口英世の生い立ちや功績を追うのみではなく、弱い面にもふれている。人に頼ることの多い生活、度重なる借金などについて記されている。だが、それによってこの偉人の業績が薄れるわけではない。完全ではないからこそ、そのひたむきさにより敬意がもてる。
長男は読み終わった後、付記されている年表を見て、
「ベルが電話機を発明した年に野口英世は生まれたんだね。」
と言っていた。歴史の横糸を心の中に紡ぐ上でも、伝記は役に立つ。
野口英世―見えない人類の敵にいどむ
滑川 道夫
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