高崎の音楽センターで群馬交響楽団第445回定期演奏会を聴く。曲目は、武満徹の3つの映画音楽、メンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」、バルトークの「組曲中国の不思議な役人」、コダーイ「くじゃくよ飛べの主題による変奏曲」。
久しぶりに足を運んだ音楽センターは、開演1時間前にもかかわらず、多くの人で溢れていた。この地味な曲目でこれほど人が集まるのかと驚いた。「のだめカンタービレ」の影響もあるのだろうか、数年前とはうって変わった賑わい。
ロビーでパンフレットを眺めていると、ホール内で拍手が聞こえる。開演の20分以上前なのに何だと思ってホールに入ると、壇上に一人が立って、とうとうと喋っている。パンフレットにプログラム・ノートを書いている渡辺和彦氏が、曲目の解説を話しているのであった。運営する側のサービスに勤める姿勢の一端を感じた。
指揮者の高関健氏は、1993年よりこの2008年3月まで群馬交響楽団音楽監督を務め、現在は名誉指揮者となっている。群響の発展に実に大きな貢献をされた。何度かお話をさせていただいたことがある。気さくなお人柄で、暖かみを感じる方だ。高関氏の指揮による群響の演奏会での合唱に幾度も参加したが、明瞭な指揮をされるので、思いがよく伝わった。NHK大河ドラマ「風林火山」「八代将軍吉宗」などのテーマ音楽の指揮者としても活躍している。
演奏の冒頭、異例のことだが、高関氏がマイクを手にした。
「ミャンマーの災害や、中国四川省の大地震の被害に対して、私共で何かできないか検討しましたが、今日の武満徹の映画音楽のうち、2曲目の「黒い雨」のテーマが追悼の音楽なので、被害にあった方々に捧げる曲といたします。そのような思いを込めて演奏いたします。」とおっしゃった。
「ホゼー・トレス」「黒い雨」「他人の顔」の3つの映画音楽が奏された。「黒い雨」よりの葬送の音楽は、荘重な響きのなかに、祈りを感じる曲であり、静かに胸にしみる曲であった。「他人の顔」は、軽やかなワルツで、親しみやすく印象に残る旋律。
メンデルスゾーンの交響曲第4番は、1934年の改訂版が演奏された。洗練された優美な音楽に、ゆったりとひたることができた。
バルトークの「中国の不思議な役人」は、変化に富んだ、不協和音が炸裂する激しい音楽だが、実に聴き応えがあった。木管の音色がことに素晴しかった。
「くじゃくよ飛べの主題による変奏曲」は、ハンガリーの作曲家コダーイによるものだが、日本民謡組曲のような雰囲気があった。旋律が八木節風であったり、さくらさくらを思わせたり、東洋の香りを存分に含んでいる。ハンガリーのマジャール人は東洋系であるとのことで、日本との文化の繋がりを感じさせる音楽であった。
クラシックの演奏会に子どもと一緒に来るのは、これが初めてであった。終演後、小学5年生の長男は、「すごい時間を過ごしたね。」と話していた。
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丸山勝廣氏楽団葬
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