2次関数の授業 射影幾何学入門
高校生に、5年ぶりに授業をする。関数描画ソフトGRAPESを生徒が実際に操作しながら、2次関数と2次方程式の関係を学ぶ内容。
2次関数とx軸との交点に2次方程式の解が現れることを復習した後、2次関数y=x^2-4x+kがx軸と「2点で交わる」「接する」「共有点を持たない」の各条件を求めさせる。続いて、2次関数y=x^2と直線y=2x+kと同様の条件を求めさせる。瀬戸大橋の写真を示し、一様の重さを支える吊橋の形状は理論的には放物線になり、構造計算には、ケーブルの接線方向にかかる力を考えることが必要であることを伝え、接線の重要性を示す。
次に、2次関数y=x^2の(t,t^2)における接線の方程式y=2tx-t^2を求めさせ、それをもとにGRAPESの残像機能を用いて包絡線を描かせる。y=2tx-t^2 をtの2次方程式として捉えさせ、t^2-2tx+y=0 から接する条件D=0を用い、包絡線y=x^2 を求めさせる。「接線の直線群」と、「包絡線」が、2次方程式の判別式を軸として、「双対性」をなすことを伝える。演習として、t^2-xt+y=0 , yt^2-2t+x=0 の包絡線を求めさせる。
最後に、真っ直ぐな道が地平線に向かって伸び、地平線で交わる情景から、平行線が無限の彼方で交わる「無限遠点」と、地平線上に示される「無限遠直線」を考えることで、新たな数学「射影幾何学」が生まれることを示す。3D-GRAPESで放物線が無限遠直線に接することを示し、2次曲線「双曲線」「放物線」「円・楕円」が無限遠直線と「2点で交わる」「接する」「共有点をもたない」の関係で分類できることを伝え、「判別」の役割の重要性を伝える。
この内容を扱うのに、45分という時間はあまりに短かったが、生徒たちに数学の広がりの一端が伝われば、本時の役割は果たせたと考える。
射影幾何学入門―生物の形態と数学
丹羽 敏雄
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