銭ゲバ 1
ジョージ秋山の漫画を原作としたドラマ「銭ゲバ」が始まる。極貧の中で母親を亡くし、金銭のために殺人を繰り返す男の物語。社会の歪みを真っ向から描き、表現が問題視された作品。
原作は1970年、高度経済成長を遂げた時代に連載された。大阪万博が開かれ、日本はわきかえる熱気があった。一方、貧富の格差が広がり、飛躍的な成長の影で環境破壊が進行し、公害問題が顕在化した。
ドラマは、舞台を2009年の現代に移している。急激に経済状況が悪化し、企業では容赦ないリストラが断行され、突然の解雇が言い渡される。自己責任の名のもとに、様々な場面で自分の都合のみを考えて動く社会になってしまった今の日本は、1970年当時以上に「銭ゲバ」の舞台として相応しいように思えてしまう。
松山ケンイチは、孤独の影を引きずる主人公を他を圧する存在感で演じている。スタッフも相当な覚悟で作っていることが伝わってくる。
銭ゲバ 上 (1) (幻冬舎文庫 し 20-4)
ジョージ秋山
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