箱根の坂 上
「箱根の坂」は、戦国の幕を切っておとした北条早雲を活写する司馬遼太郎の歴史小説。いつもながら見事と感じるのは、冒頭、早雲とは違う視点から話をおこし、自然と室町時代の人々や文化を示す筆運び。室町の空気がじっくりと伝わってくる。
上巻では、記録の少ない早雲の京都における前半生を、そこにいる人々の息づかいが感じられるほど生き生きと描いている。特に、骨皮道賢とのエピソードは圧巻。
歴史を描きあげていく喜びすら感じられる、味わい深い名編。
箱根の坂〈上〉 (講談社文庫)
司馬 遼太郎
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