もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
2010年、年間のベストセラーは「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」。 2010年12月現在で発行部数190万冊を越え、電子書籍版10万部を合算すると200万部を越えるミリオンセラーとなった。
弱小野球部のマネージャーが、マネージャーの何たるかを求めてピーター・ドラッカーの「マネジメント」を読み、野球部の強化をはかる青春小説。すらすらと読める。家人が大晦日に買ってきたので、用事を足している隙に読んでしまった。
高校生がドラッカーの著作に感銘を受け、そこから学び、実践しようとする姿がとても心地よく感じられた。このようなひたむきな姿勢こそ、今求められているものだと思う。
情報はいくらでも手に入れられる社会になったが、それをどう生かすかは、個人の姿勢にかかっている。対象にしっかり向き合ってはじめて必要なものが得られる。斜に構えて見るのは簡単だが、それだけでは何も生まれない。
本がミリオンセラーとなったのは、ライトノベル風の表紙や、主人公がAKB48の峯岸みなみをモデルにしているといった話題性、積極的な商品戦略などもあったろうが、中身が伴っての結果だと感じる。
高校生が真摯に問題に向き合い、組織を変えていく姿は、多くの社会人にも共感をもって迎えられたのではないか。
ドラッカーの考えの一端を、これほど分かりやすく示した本はないだろう。知の巨人、ドラッカーを世に広く知らしめたこの本の功績は大きいと思う。
「学び」から「実践」へ。一歩を踏み出したいと感じさせる、爽やかな良書。
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