人を動かす
自己啓発、人間関係についての本はあまたあるが、この本ほど説得力をもった中身のあるものは少ないであろう。1936年に初版が出され、世界中で読み継がれている、古典ともいえる本である。
豊かな人生、よりよき人間関係を築くために、どう行動すればよいか。その問いに答えるため、何年にもわたる成人教室での具体的な実践を踏まえて記された書であり、畳みかけるように語られる実例には心を動かされる。
日本人が古来重んじていた「謙譲の美徳」といった内容も含まれている。しかし、現代の日本では、新自由主義の名の下に、自己責任としてすべてが個に委ねられ、またサービス産業の肥大化もあいまって個人主義が進み、本来日本が大切にきた美徳が薄れつつある。本書は、あらためて謙譲や相手への思いやりなどの大切さを想起させてくれる。本書の価値は今なお失われるどころか、重みを増しているのではないか。
人生の節目ごとに読み返したくなる名著。
人を動かす 新装版
デール カーネギー Dale Carnegie 山口 博
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