プロジェクト・ヘイル・メアリー
この小説を何の予備知識もなしに読めたのは幸いだった。主人公はなぜか未知の空間におり、徐々に過去を思い出していく。やがて、自らが人類の救出に深く関わることを自覚していく。現在と過去をいきつ戻りつしながら、壮大なストーリーが展開されていく。
主人公は多くの科学者と出会い、話し合う。個性的な科学者たちのキャラクターも良いが、そこで交わされる話がまさしくサイエンスで、その内容は実に興味深い。SFの醍醐味をじっくりと堪能できる。
映画では描かれていなかったが、小説のちょうど真ん中あたりにある気象学者のエピソードは胸にしみた。この物語は、良質なエピソードの積み重ねで読者を飽きさせない。
中盤以降の怒濤の展開は、未知のものに対するワクワク感と科学で難題を乗り切ることの連続で進んでいく。まさしく科学が推進力になっている作品である。
そして、終盤の叙情も胸に迫る。読み終えた後に、「しあわせ」を3度叫んでいることだろう。
サイエンスが横溢する上に、温かみに満ちた稀有な本格SF。
コメント