池の平湿原
長野県にある池の平湿原に家族で行く。上信越自動車道の小諸インターチェンジを降りて30分ほど、急な坂を上り、湯の丸高原に至る。そこからさらに15分ほど曲がりくねった道を上り、池の平湿原の駐車場に着く。
朝9時、澄んだ青空のもと、眼前に緑と黄色が和した柔らかな色合いの草原が広がる静謐な景色は、まさに別天地であった。
池の平湿原は標高2000m、数万年前の三方ヶ峰火山の火口原に広がる高層湿原である。昼夜の気温差、年間の気温差が大きい特異な地であり、貴重な高原植物の宝庫となっている。
木の遊歩道をゆっくり歩む。蝶やトンボがゆったりと優雅に飛んでいる。時がゆるやかに流れている。
湿原を横切る遊歩道は、勾配のある木道に連なる。やや急な昇りであるが、周りの景色が変化に富み疲れを感じさせない。しばらく上った後に見えた風景には息をのんだ。小諸から上田への盆地が一望され、彼方には山が幾重にも層をなす絶景であった。富士山のシルエットも遠望される、一大パノラマである。
さらに歩み、2095mの見晴岳山頂に出る。紺碧の空のもと、雄大な景色を眺めながらとる昼食は格別であった。多くの集落が眼下にあるが、ここでは微風の音以外に聞こえるものはない。
森を抜け、尾根づたいに歩き、湿原が一望できる場所に出る。数万年前に火口であったことが伺える。
見晴岳山頂から40分ほど歩き、駐車場に戻る。手軽なハイキングコースであるが、たいへん充実した気分。非日常を味わえる格別の時間であった。
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