« 『アラビアンナイト』 (100分de名著) | メイン | ゲゲゲの女房 1 »

八重の桜 50

 NHK大河ドラマ「八重の桜」最終回は、「いつの日も花は咲く」。
 このドラマの1年を振り返ると、会津の人々を中心に据え、幕末の苦悩を描いた前半部分は大変に素晴らしい出来で、人々の矜持と歴史のうねりに巻き込まれる人々の緊迫感を伝える見事な映像であった。
 それが、明治になってからいきなり薄くなり、ホームドラマ風に流れてしまった。いったいこの変化はどうしてしまったのであろうか。
 前半ではあまり目立たなかった綾瀬はるか演じる八重が、後半では俄然中心となり、鬱々とした表情をたたえたり、大きな声を出す場面が増えた。このような感情の起伏をそのまま前面に出すステレオタイプのドラマになってから、質は一気に落ちた感がある。西南戦争、自由民権運動、内閣制度発足、日清戦争など歴史的な出来事も描かれるが、物語として消化しきれておらず、散発的に紹介される一コマに終始していた。
 山川浩、山川健次郎、大山捨松といった、山川家の人々のエピソードも挟まれていたが、前半の流れを引き継ぐには会津藩の人々の生き様をより丁寧に盛り込んで流れをつくれば、見応えもあったように思う。
 縦横の糸がきれいに綾なされていた織物が、途中から横糸がなくなり、ばらばらと縦糸がなびく端布になったような印象である。
 ドラマは脚本できまる。引き締まった構成感があり、最後まで見る側を惹き付ける大河ドラマを期待したい。

NHK大河ドラマ「八重の桜」

八重の桜 完結編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233640

コメント

コメントを投稿

アクセスランキング

Ajax Amazon

  • Amazon.co.jpアソシエイト
  • UserLocal
  • Ajax Amazon
    with Ajax Amazon