桂歌丸 小間物屋政談
桂歌丸の落語は、淡々とした語りであるが聴いていくに従いどんどんその話に引き込まれていく。登場人物も声音を変えて語り分けている風はないのだが、自然と人物が浮かび上がり誰が話しているかがくっきりと伝わる。まさに話芸の粋である。
「塩原多助一代記-あお(青馬)の別れ-」「塩原多助一代記-多助の出世」など、上州にゆかりのある噺も貴重な口演であり、興味深く拝聴した。「左甚五郎-竹の水仙」などの名人芸も忘れがたい。
「小間物屋政談」のCDでは、本編はもとより、あれも演じたい、これも演じたいと意欲をみせる話ぶりに励まされる。
2018年7月2日、息を引き取られた。まさしく、求道の人生であった。ご冥福をお祈りいたします。
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