« 井上芳雄 空に星があるように | メイン | スパイ・レジェンド »

NかMか

 アガサ・クリスティの小説「NかMか」は、トミーとタペンスが活躍するシリーズとしては、長編「秘密機関」、連作短編「おしどり探偵」に続く3作目。第1作は第1次世界大戦の影響が色濃く描かれていたが、今回は第2次世界大戦下に執筆された。
 イギリス南部の海辺のゲスト・ハウスに、ナチスの大物スパイがいるという情報がもたらされる。イギリス当局と何の関わりもないトミーに白羽の矢が立ち、スパイの正体をつきとめようとするが…。
 全般的にユーモラスな筆致であるが、戦時下の緊迫感も伝わってくる。前半には登場人物を浮き上がらせていくゆったりとした描写が続くが、後半になって俄然ダイナミックに物語が動き出す。
 クリスティお得意のミスディレクションが小気味よい。ウィットあふれる冒険ミステリー。

NかMか (ハヤカワ文庫) [ アガサ・クリスティ ]

コメント

コメントを投稿

アクセスランキング

Ajax Amazon

  • Amazon.co.jpアソシエイト
  • UserLocal
  • Ajax Amazon
    with Ajax Amazon