映画 沈まぬ太陽
山崎豊子の小説「沈まぬ太陽」は、5巻に及ぶ大作である。組織の構造的問題を鋭く突くテーマ、世界各地に及ぶ舞台など、そのスケールの大きさゆえに、映像にするのは困難と思われたが、ついに映画化された。
大作が映画になる場合、パート1、パート2などに分けたり、三部作にするケースが多いが、「沈まぬ太陽」は、3時間22分の枠に収められた。長く描こうと思えばいくらでも長くできるだろうが、1本にすることで、テーマがより明確に浮かび上がったように感じる。
不屈の信念と矜持を持って生きる主人公、恩地を渡辺謙がじっくりと演じている。三浦友和演じる、恩地のライバル行天の、エリート社員の風貌で平然と悪事をなす姿が印象的。
何より、航空機墜落事故の描写には、感涙を禁じ得ない。
スタッフの執念が伝わる、渾身の日本映画。
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