どろろ アニメ(1969)
1969年からフジテレビ系列で放送された「どろろ」。前半はモノクロであり、水墨画のような背景でたいへん味わいがある。
音楽は富田勲が作曲。「ほげほげたらたら ほげたらぽん」という印象に残る歌詞で、一度聴くと耳朶の底に残る。
総監督の杉井ギサブローのもと、手塚治虫の世界を丁寧に映像化した力作。
1969年からフジテレビ系列で放送された「どろろ」。前半はモノクロであり、水墨画のような背景でたいへん味わいがある。
音楽は富田勲が作曲。「ほげほげたらたら ほげたらぽん」という印象に残る歌詞で、一度聴くと耳朶の底に残る。
総監督の杉井ギサブローのもと、手塚治虫の世界を丁寧に映像化した力作。
手塚治虫による漫画「どろろ」。父親が自らの野望のために魔物の生贄とされ、体の48箇所を欠損した状態で生まれた百鬼丸をめぐる物語。生まれてすぐ川に流された百鬼丸は、医者の寿海によって救われ、義手や義足、義眼を補われて成長していく。魔物を倒すごとに奪われた体の部分が戻っていく。
百鬼丸に魔物に襲われているところを救われた子ども「どろろ」は、共に旅をすることになる。
子どもの頃、「週刊少年サンデー」に連載されている「どろろ」を見て、怖いと感じると同時に、その不思議な世界に惹かれる思いがあった。成人となりあらためて通して読むと、テーマの重みと深遠さに感銘を受けた。
どろろの軽妙な動きが物語の暗さを救っている。その卓越した表現技法にはうならされる。
連載開始は1967年。時を越えて今なお多くのクリエーターに刺激を与え続ける名作。
NHK大河ドラマ「いだてん」第4話は「小便小僧」。高等師範学校のマラソン大会で3位となった金栗四三であったが、家族からは勉学に専念せよと咎められる。一方、嘉納治五郎は日本初のオリンピック予選開催にむけて苦労をするが、準備は進められていく。
当時の情景など、丁寧な考証を重ねていることがひしひしと伝わる。このまま快走してほしい。
松本清張原作のドラマ「黒革の手帖」第2話は、クラブの客に狙いを定め、ゆすりを行う原口元子を描く。
原作で最も傑出した場面を、小林稔侍が実にうまく演じていた。間にはいる室井滋の演技もよい。芸達者な俳優が競演して惹き付けられた45分であった。
松本清張の小説を原作とする2004年のドラマ「黒革の手帖」。銀行の架空口座からの横領で1億2千万円を手に入れた銀行員原口元子は、銀座にクラブを開店する。
米倉涼子が銀行員からクラブのママになるしたたかな女性を演じる。ライバル釈由美子、クラブの客として小林稔侍、柳葉敏郎など個性的な面々が次々登場し、片時も目が離せない展開となっていた。
松本清張の「黒革の手帖」は、元銀行員が銀座のママに転身し、地位のある男たちを手玉にとる小説。
銀行業務や経理に通じた女性が銀座のママとして客につけいるという設定が巧みで、裏事情を明るみに出す舞台装置が見事に構築されている。
上巻では、主人公と病院長とが対峙するシーンが圧巻。リアリティが実に周到なタイミングで炸裂する。
読み進むほどに凄みが増していく傑作サスペンス。
NHK大河ドラマ「いだてん」第3話は「冒険世界」。上京した金栗四三を描く。金栗は東京高等師範学校で三島弥彦ら天狗倶楽部による奇妙な運動会を目にし、マラソンと出会う。
人々の息吹が感じられる東京の状況が素晴らしい。上京する金栗を支える家族の姿も良い。徳冨蘆花の「不如帰」の流行なども描かれ、様々な文化をからめておりたいへん興味深い。
時代の雰囲気を群像劇で熱く伝える好感がもてる大河。
NHK大河ドラマ「いだてん」第2話は「坊ちゃん」。金栗四三の少年時代を描く。
素朴な子役がいい。あまり喋らず、不安げな雰囲気がその後の愚直な四三によく繋がっている。中村獅童演じる兄に勉強部屋でしかられたときの涙顔は、本当にこわかったんだろうと感じさせる。
NHKの番組「100分de名著」で夏目漱石の「坊ちゃん」を解説した姜尚中が、四三の通う玉名中学校の教諭を演じている。
にくい演出を積み重ね、ワンシーン・ワンシーンを楽しませてくれた。
NHK大河ドラマ「いだてん」第1話は「夜明け前」。役所広司演じる嘉納治五郎が、オリンピック初参加に向けて奮闘する様が描かれていた。
明治、昭和と時代をいきつもどりつしながら、熱気ある日本の姿を多彩な人々で表現していた。宮藤官九郎によるテンポのよい脚本と、当時を見事に再現した映像であっという間の1時間であった。膨大な資料を駆使して日本の現代史を垣間見せてくれ、充実した時を過ごすことができた。
なにより、勢いがあり見ていて心地良い。時代を走り抜けていくドラマに今後の期待がふくらむ。
よく見返す本として、「大アンケートによる洋画ベスト150」がある。たいへん古い本であるが、昔の良い映画に出会う道しるべとなっている。アンケートで選ばれた150の作品について、2ページから1ページで紹介とコメントがあるのだが、どの文も映画への愛に満ちている。
映画の素晴らしさをじっくりと語りかけるビジュアル文庫。
最近のコメント