驟り雨/朝焼け [新潮CD]
藤沢周平の小説「驟り雨」「朝焼け」を柳家小三治が朗読したCDを聴く。江戸を舞台にした、癒しと再生の物語。
小三治の絶妙の語りが素晴らしい。
藤沢周平の小説「驟り雨」「朝焼け」を柳家小三治が朗読したCDを聴く。江戸を舞台にした、癒しと再生の物語。
小三治の絶妙の語りが素晴らしい。
柳家小三治は朗読の名手でもあった。
松本清張の時代小説「左の腕」「いびき」を、柳家小三治が朗読したCDを聴く。清張の鋭い人間観察に裏打ちされた2つの短編は、ミステリアスな展開の妙味とあいまって引き込まれる。柳家小三治が、きっぷのいい台詞回しで小気味よく聴かせてくれる。
清張の文章は、テンポといいすっと気持ちに入る表現といい、実に見事で感心する。
豊富な具体例で学べるJavaScript入門書。「Web上でこんなことをしてみたい」という部分から入る動機付けがよい。
オールカラーで図も多く、見やすく分かりやすいレイアウトも好感が持てる。
自ら試行錯誤をして身につけるための最初のステップを与えてくれる良書。
道尾秀介の推理小説「シャドウ」。小学5年生の凰介は母を亡くした後、次々と奇異な出来事にみまわれる。
人々の精神をモチーフに、少ない登場人物で緊密な物語が紡がれる。
この人の作品は読み始めると止まらない。やはり1日で一気に読み終えてしまった。
張り巡らされた伏線とその回収が心地よいミステリー。
大物を相手に様々な手段で詐欺をはたらく人々を描いた「コンフィデンスマンJP」の劇場版第2作「プリンセス編」。世界有数の大富豪レイモンド・フウの遺産を得るため、フウ家に入り込む面々を描く。
今回も長澤まさみが実に生き生きとしている。物語の鍵となる内気な少女コックリを関水渚が好演している。
個性豊かな俳優が競演しており楽しめるが、その中のおひとり竹内結子さんにとっては、残念なことにこの作品が遺作となってしまった。
ゴージャスな舞台で繰り広げられるコンゲームに時を忘れて見入ることができるエンターテイメント・ムービー。
そのときのわたしは、「これら切ない言葉よ、世界中にひろがれ」と何百回となく呟きながら書いていました。
原爆投下から3年後の広島、娘と父二人の会話による戯曲。図書館に勤めながら慎ましく暮らす美津江は、話相手の父から恋愛などについていろいろと助言を受けるが、素直になれないわだかまりをもっていた。
井上ひさしの紡ぐ二人芝居は基本的にユーモラスでありながら、切々と胸に迫ってくる。被爆された方々の言葉の重みが凝縮されているからであろう。
「蜜蜂と遠雷」が映画化された。恩田陸の原作は、ピアノ音楽を言葉だけで表現し、素晴らしい読書体験を与えてくれた。しかし、実際に映像や音がつくと、その魅力が失われてしまうのはなぜだろう。
俳優さんたちはそれぞれの登場人物をよく演じているが、音楽は形になってしまうと、文章で表現されていた輝きが消えて行ってしまうのだ。どんなに実際のいい演奏でも、失望の感を拭えない。
「風間塵の演奏はこれじゃない!」と叫んでしまうのだ。
文章で表現された音楽は想像の余地があり魅力をたたえ続ける。
「包丁人味平」は最もわくわくした漫画のひとつ。1973年から1977年に週刊少年ジャンプに連載された作品であり、子どもの頃、その単行本の発売が待ち遠しくてしょうがなかった。
日本料理人の息子「味平」が成長していく物語である。まだ「グルメ」という言葉すら日本に存在していなかった時代、様々な料理や料理人の姿が描かれていた。
小さな洋食料理店の修行に始まり、「包丁試し」「点心礼勝負」といった料理の対決が繰り広げられる。また、デパート間の経営上の威信をかけた「カレー戦争」など、組織としての対決も見られた。
そこでは大小の料理に関する蘊蓄が繰り広げられる。原作者牛次郎お得意の大風呂敷のものもあるが、それはそれでまことに楽しい物語であった。
料理の多様さと料理人の矜持を、昭和の熱気の中に描く「包丁人味平」は、職業漫画のルーツであり、日本漫画界のエポックメイキングとも言える名作である。
道尾秀介のミステリー「向日葵の咲かない夏」。夏休み前の終業式の日、小学校4年生のミチオは、休んだS君の家に届け物をするため訪れるが…。
独特の空気をもった作品。根底には、一種の死生観をたたえている。
読者を引きつける力はすごく、手にしてから読み終わるまで寝ることができなかった。
ひと夏の特異な読書体験ができる一冊。
病み衰えた体で最後の旅に出るブッダ。それを支えるアーナンダとの語りや、浮かび上がる過去を通してブッダの思いが自然に綴られる瀬戸内寂聴の「釈迦」。
静かな筆運びであるが、鮮烈な物語が織り込まれ、豊かなシンフォニーのようなまとまりがある。ブッダの涅槃に至るまでを丁寧に描いた円熟の小説。
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