汝ふたたび故郷へ帰れず
離島から都会に出てきたボクサーを描く飯嶋和一の小説「汝ふたたび故郷へ帰れず」。
前半、酒におぼれる主人公の暑苦しい描写が続くが、読み進むうちに徐々に引き込まれていく。それは、後半に向かってのカタルシスに欠かせない要素であった。とにかく読後感が素晴らしい。文藝賞受賞作品。
汝ふたたび故郷へ帰れず (小学館文庫)
飯嶋 和一
離島から都会に出てきたボクサーを描く飯嶋和一の小説「汝ふたたび故郷へ帰れず」。
前半、酒におぼれる主人公の暑苦しい描写が続くが、読み進むうちに徐々に引き込まれていく。それは、後半に向かってのカタルシスに欠かせない要素であった。とにかく読後感が素晴らしい。文藝賞受賞作品。
汝ふたたび故郷へ帰れず (小学館文庫)
飯嶋 和一
スーパーを経営する男が、奥底の眠っていた野生の血を呼び覚ます。
北方謙三の小説「檻」。簡潔な文体と登場人物の魅力的な描写、テンポよいストーリーで、深い叙情を感じさせる。ハードボイルドの傑作。
檻 (集英社文庫)
北方謙三
石塚真一による漫画「岳」を原作とする、小栗旬主演の映画。
山岳救助に携わる人々の人間模様を軸に、山の美しさと厳しさを迫力の映像で綴るヒューマンドラマ。
筒井康隆によるトリッキーな小説「ロートレック荘事件」。ロートレックの絵画が散りばめられた館でおこる連続殺人。筒井ならではの雰囲気を醸し、気楽にさらりと読めるが余韻の残るミステリー。
ロートレック荘事件 (新潮文庫)
筒井 康隆
NHK大河ドラマ「真田丸」第33話は、「動乱」。石田三成が、徳川家康を討とうと挙兵するが、多くの大名たちは家康の元に参じてしまう。
石田三成の人望のなさが痛々しいまでに表現されている。三成の実直な性急さと、家康の老獪さを対比させながら、幾多の登場人物を個性豊かに際立たせつつ関ヶ原に向かってそれぞれの立ち位置を醸成させていく。しかも1日の枠組みできっちりと描き出す。群像を業とユーモアの垣根を越えて表現する稀有な脚本であった。
「注文の多い料理店」「卵」「赤ん坊と半鐘」「母子像」の4編を収録。
宮沢賢治「注文の多い料理店」は、虚心になって聴くとホラーとしてもよく出来ていると実感する。夢野久作「卵」は、奇妙な味の一品。牧逸馬「赤ん坊と半鐘」、小話のようでもあるが、後味悪い。久生十蘭「母子像」、戦争直後の傷を感じる作品。
いつもながら音楽は邪魔以外のなにものでもない。そのセンスが逆に不気味。
怪談傑作集(4)注文の多い料理店
朗読 滝田裕介 久米明 永井智雄
NHK大河ドラマ「真田丸」第32話は、「応酬」。石田三成と徳川家康の対立が決定的となる過程を描く。家康の老獪さが際立ち、三成の実直さを嘲笑するかのように圧していく。
NHK大河ドラマ「真田丸」第31話は、「終焉」。秀吉も床に就いたままとなり、後のことを周囲が危惧しはじめる。家康、三成が秀吉に遺言を無理矢理書かせる非道を行い、後半には出浦昌相が家康暗殺を企て、忍びの立ち回りを演じる。
秀吉の最期をめぐる、暗さの際立つ回であった。
ヒストリエ第9巻では、主人公エウメネスがアテネに赴き、工作を行う。後半では、カイロネイアの戦の端緒が描かれる。
各巻が発売されるまで、1年以上の間隔がある。この悠揚としたペースには、滔々たる歴史の流れに向き合っている感覚すらおぼえる。
NHK大河ドラマ「真田丸」第30話は、「黄昏」。秀吉によるキリシタンの弾圧、醍醐の花見などのエピソードをはさみながら、徐々に衰えていく秀吉の姿と、豊臣政権に関わる周囲の人々の動きが描かれる。
秀吉末期の、重苦しい回が続く。真田の里が舞台であった頃とうって変わり、人々の業が前面に出ている。それゆえ、ユーモアをたたえようという脚本の小技が随所にあるのだが、全体に暗くただよう雰囲気と閉塞感をかえって際立たせる感がある。
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