花燃ゆ 41

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第41回は、「いざ、群馬へ!」。
 大沢たかお演じる楫取素彦は、萩郊外で農業に従事していた。木戸孝允は楫取の元を訪れ、富岡製糸場を建設し、殖産興業のモデルとして重要であった群馬県令の就任を懇願する。
 萩の乱の胎動とからめながら、群馬の地へ赴くことになる楫取と美和を中心に語られる。
 群馬はからっ風が常に吹き、人々の気性が荒い物騒な土地柄という描かれ方がされている。地元民としては微妙な印象であるが、ドラマとしては新たな地での波乱の幕開けとしてなかなか興味深かった。

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」

花燃ゆ 完結編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233705

マスカレード・ホテル

 東野圭吾のミステリー小説「マスカレード・ホテル」。ホテルマンに扮装して潜入捜査をする刑事と、現場での立ち居振る舞いを教育する女性フロントマネージャーのやりとりを軸に描く。
 ホテルでの人間模様が興味深く描写され、石ノ森章太郎の「HOTEL」のような連作短編を思わせる。
 ストーリーテリングの冴えをみせる、エンターテイメント小説の良作。

マスカレード・ホテル (集英社文庫)
東野 圭吾

ゴルフ場殺人事件

 アガサ・クリスティの推理小説「ゴルフ場殺人事件」は、エルキュール・ポワロのライバルが登場したり、助手のヘイスティングスのロマンスがあったりと、変化に富む展開。
 クリスティの筆運びが生き生きとしている、初期の快作。

ゴルフ場殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ クリスティー

花燃ゆ 40

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第40回は、「二人の母」。
 今回は極めて不愉快であった。子どもに対する扱いがあまりにひどい。いつもひどいドラマだとは思っていたが、今回は見るのが苦痛でならなかった。吉田松陰の妹といいながら、教育に対する冒涜もはなはだしい。志以前に、人間としての情感がおかしくなっている。

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」

花燃ゆ 完結編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233705

ドグラ・マグラ CGアニメ

 夢野久作の奇書「ドグラ・マグラ」を元にしたCGアニメ。SFとして仕上げているが、原作の趣きとは別の雰囲気になってしまっている。人々の表情や乗り物・建物など、それなりに力を入れて制作しているのは分かるのだが、どうも軽さが目立ってしまう。
 これだけエネルギーをつぎ込んだのに、ただ暗いだけの話になってしまっているのは、もったいない感じがする。

ドグラ・マグラ [DVD]
B009LDSQXU

花燃ゆ 39

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第39回は、「新しい日本人」。
 「そうせい候」毛利敬親が亡くなる。北大路欣也は、この脚本でも安定感のある演技を保ち、さすがプロと感じた。「新しい日本人」の意味がよく分からなかったが。自由人という意味であれば、言われなくてもずっと主人公は自由気ままであるように思う。 

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」

花燃ゆ 完結編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233705

ロスジェネの逆襲

 半沢直樹シリーズの第3弾「ロスジェネの逆襲」。半沢は証券会社に出向し、ハイテク企業の買収をめぐり親会社の銀行と対決する。
 仕事へのプライドをかけた闘いが繰り広げられる金融エンターテイメント。

ドラマ「半沢直樹」原作 ロスジェネの逆襲

ヒルズ 挑戦する都市

 アークヒルズ、六本木ヒルズ、上海ワールドフィナンシャルセンターなどの開発を手がけた森ビルの総帥、森稔氏が語る都市論。「職住近接」、「垂直庭園都市」、「文化都心」などの思想が、六本木ヒルズに具現化した例を挙げながらつぶさに語られる。また、貸しビル業から都市再開発に携わるまでの経緯や苦労が淡々とした筆致で簡潔に綴られている。
 十年以上先を見据えたビジョンの的確さと、都市創造の執念が読み手に伝わる。十数年に及ぶ期間を要する巨大プロジェクトを成し遂げたからこそ語れるコンセプトと熱い思いが凝縮された書。

ヒルズ 挑戦する都市 (朝日新書 200)
森 稔
4022733004

花燃ゆ 38

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第38回は、「届かぬ言葉」。
 版籍奉還に伴う藩政改革で、奇兵隊を含む長州諸隊のうち1200人が脱隊騒動を起こす。ところで、吉田松陰と獄にいた富永有隣が関わっていたはずなのだが、本田博太郎があれだけ存在感のある演技をしておきながら、ここで全く出てこないのはなぜ。
 歴史をちゃんと描いてくれという視聴者の声は、スタッフには届かぬ言葉なのだろうか。

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」

花燃ゆ 後編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233691

包丁人味平

 「包丁人味平」は最もわくわくした漫画のひとつ。1973年から1977年に週刊少年ジャンプに連載された作品であり、子どもの頃、その単行本の発売が待ち遠しくてしょうがなかった。
 日本料理人の息子「味平」が成長していく物語である。まだ「グルメ」という言葉すら日本に存在していなかった時代、様々な料理や料理人の姿が描かれていた。
 小さな洋食料理店の修行に始まり、「包丁試し」「点心礼勝負」といった料理の対決が繰り広げられる。また、デパート間の経営上の威信をかけた「カレー戦争」など、組織としての対決も見られた。
 そこでは大小の料理に関する蘊蓄が繰り広げられる。原作者牛次郎お得意の大風呂敷のものもあるが、それはそれでまことに楽しい物語であった。
 料理の多様さと料理人の矜持を、昭和の熱気の中に描く「包丁人味平」は、職業漫画のルーツであり、日本漫画界のエポックメイキングとも言える名作である。

包丁人味平 〈1巻〉 包丁試し1

包丁人味平 全12巻セット (集英社文庫―コミック版)

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