クリスタル殺人事件

 アガサ・クリスティの推理小説「鏡は横にひび割れて」を原作とする映画。
 ミス・マープル・シリーズの映画化第1作。マープル役のアンジェラ・ランズベリーがいい味わいを出している。

クリスタル殺人事件 デジタル・リマスター版 [DVD]
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プリンセス トヨトミ

 会計検査院と大阪の人々との攻防を軸に、400年続く秘密を守ろうとする人々を描く映画。
 歴史にまつわるファンタジー。ツッコミどころ満載で楽しませてくれる。

プリンセス トヨトミ DVDスタンダード・エディション
万城目学
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アンナ・カレーニナ〈下〉

 トルストイの「アンナ・カレーニナ」下巻は、社会、芸術、宗教などいくつもの思想を登場人物のやりとりの中で敷衍しつつ、人々の運命をからませていく。
 誠実な愛情が激しいゆえに破局に向かっていく。アンナの道すがらの描写は迫力に満ち、読むものを惹き付けて止まない。
 幸福と不幸、愛情と憎悪、実直と欺瞞、理想と現実、幾多の対比を透徹したリアリズムの内に描く。その充実した読後感は、他の書物では得られない芳醇な味わいがある。人の営みが凝縮された不朽の名作。

アンナ・カレーニナ(下) (新潮文庫)

アンナ・カレーニナ〈中〉

 2組の男女の恋愛を軸としながら、多彩な人間模様で展開される、「アンナ・カレーニナ」中巻。
 幾多の人物の中には、感情移入できる人もいれば、嫌悪をいだく者もいる。その多様さが、この物語の魅力といえる。
 華やかなかに欺瞞と冷徹がうずまく社交界と、農村の素朴な描写を織り交ぜながら、滔々たる大河のように物語りは進んでいく。豊穣な読書体験を与えてくれる文学作品。

アンナ・カレーニナ(中) (新潮文庫)

アンナ・カレーニナ〈上〉

 「幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである。」

 トルストイの代表作「アンナ・カレーニナ」。この長大な作品は、冒頭である家族の不倫の話で興味を惹き付けつつ、悠然とした歩みを見せる。主人公であるアンナは、100ページ読んでも現れない。しかし、この序盤の描写は、すべて後の布石となるのであった。
 構成感豊かな、トルストイ渾身の文学。

アンナ・カレーニナ(上) (新潮文庫)

中島さち子TRIO REJOICE

 「私はいま,宇宙の最も原始的な姿,人間の最も素朴な強さを,より鮮明に捉えられないかと,ぼんやりと考えています.人間の持つ醍醐味は,その個性や自我,喜怒哀楽,その限界……から離れたところにも広々と存在すると思う.-その,言葉にならない魅力を,ゆっくりと知ってはいけないものでしょうか.」

 日本評論社の雑誌「数学セミナー」の別冊創刊号「ζの世界」は、1997年6月に刊行された。ζ(ゼータ)関数についての文章がまとめられた、極めて密度の濃い冊子である。
 執筆者として、数学者に交じって、フェリス女学院高校3年の中島さち子の文章が収められている。「ゼータの世界を眺めて」というタイトルで、数論のいくつかのトピックスをちりばめ、自らの抱負を語っている。知的好奇心に満ちた、きらきらと輝く少女の姿が眼にうかぶ、生き生きとした文である。内容については、高校生がここまでレベルの高い数学を理解し感銘を受けているのかと、圧巻の思いであった。まさしく、真の才媛である。

 中島さちこTRIOの音楽は、前向きな明るさに満ちている。それは、学問の深さとその豊かさを充分に知り、人生の素晴らしさを実感しているからこそ生まれる音楽なのであろう。

REJOICE
中島さち子TRIO

ゼータの世界
梅田 亨 若山 正人 黒川 信重 中島 さち子

吉行淳之介 驟雨 [新潮CD]

 吉行淳之介が芥川賞を受賞した作品「驟雨」を、渡辺謙が朗読したCDを聴く。
 淑やかな風情と知的な面立ちをもった娼婦と若いサラリーマンとの交情を描いた作品。
 渡辺謙の魅力的な声で、しっとりとその世界にひたることができる。渡辺謙の表現の見事さが光る朗読。

驟雨 [新潮CD]
吉行 淳之介
4108300491

ぼくはアスペルガー症候群

 アスペルガー症候群と診断された男性の手記。仕事での困難さや、おいたちが語られる。
 アスペルガー症候群の困り感を理解する一助になるのでは。

ぼくはアスペルガー症候群
権田 真吾
4801300081

花燃ゆ 33

 NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の第33回は、「花となるために」。
 椋梨藤太が表舞台から退場。このドラマでは珍しく重みのある人物であっただけに、残念。主人公美和より良識があるように感じた。冗漫な場面が多い回であった。

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」

花燃ゆ 後編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
NHK出版
4149233691

中坊公平・私の事件簿

 「森永ヒ素ミルク中毒事件」「豊田商事事件」「住専処理」など、中坊公平が自ら関わった14の事件を辿った書。
 森永のミルクに製造過程でヒ素が混入し、多くの乳幼児が障害をかかえることになる事件の章には、とりわけ熱い思いが語られている。特に、裁判での冒頭陳述には深い感銘を受けた。
 数多くの社会事象へ真摯に取り組む姿勢に頭が下がる。

中坊公平・私の事件簿 (集英社新書)

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