新世界より(上)
「黒い家」「青い炎」など、鮮烈なサスペンスやミステリーで知られる貴志祐介が、満を持して放つ「新世界より」。
内容は、なにも先入観をもたずに読んだ方が楽しめる。上・下・中3巻の文庫であるが、上巻では前半に世界観が提示され、後半より一気に怒濤の展開となる。壮大なスケールで描かれる小説。
新世界より(上) (講談社文庫)
貴志 祐介
「黒い家」「青い炎」など、鮮烈なサスペンスやミステリーで知られる貴志祐介が、満を持して放つ「新世界より」。
内容は、なにも先入観をもたずに読んだ方が楽しめる。上・下・中3巻の文庫であるが、上巻では前半に世界観が提示され、後半より一気に怒濤の展開となる。壮大なスケールで描かれる小説。
新世界より(上) (講談社文庫)
貴志 祐介
「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」の宮崎駿が、飛行機、戦艦、戦車などにまつわるエピソードを虚実とりまぜて描くオール・カラーの作品集。
その絵の緻密さに驚くと共に、本当に兵器そのもの愛着があり、楽しんで書いていることが伝わってくる。
プラモデル雑誌に連載されたものだが、「紅の豚」のストーリーボードになった作品もある。ユーモラスな雰囲気があり、最後の対談や解説にいたるまで楽しませてくれる。
零戦パイロットの祖父の実像を追い求める若者を通じて、太平洋戦争を描いた百田尚樹のベストセラー「永遠の0」。現在と過去を交錯させながら、戦闘機パイロットの思いを伝える。
永遠の0 (講談社文庫)
百田 尚樹
「ゲゲゲの女房」、これほど毎回楽しく見られた連続ドラマはない。26週130話、ずっと続いて欲しいと思うほど、素晴らしい内容であった。山本むつみの優れた脚本に支えられ、俳優、スタッフが大事にこの作品に関わっていることがひしひしと伝わる。
終盤、有名になったがため家族に生じる距離感や、今なお残る戦争の爪痕などが自然な形で描かれる。ドラマは丁寧に布をたたむように終わりを迎えていく。
水木しげるの作品の根源ともいえる、「見えんけどおる」という日本人の根っこにあるものが底流にずっとあるため、一見軽妙なドラマではあるが自然な深みをたたえていた。
まさに、心に残る名作。
「ゲゲゲの女房」では、貸本漫画の執筆に打ち込む水木しげるを、貧しい中でも温かく支える妻布美枝を中心に描く。
それにしても、中盤、貧しい時代が長く続く。高度経済成長の中、紙芝居は廃業に追い込まれ、貸本漫画はすたれていく。貸本漫画をわずかな報酬でも書き続けなければならず、時代に取り残されていく夫婦の姿は、極貧の中でも明るく輝いて見える。売れ残りのバナナを買って夫婦で食べるシーンはことに印象に残る。
松坂慶子演じる貸本屋の女主人、村上弘明 演じる漫画に夢を託す弱小出版社社長など、関わる人々も個性豊かで素晴らしい。
「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」などが世に認め始められるまでの長く苦しい時代は、良質な脚本であるからこそ見る者の心にしみいってくる。
2010年、NHK朝の連続テレビ小説で放送された「ゲゲゲの女房」。貸本漫画家水木しげるに嫁ぐことになった女性を、 松下奈緒がおおらかに演じる。
少女時代から、見合いをして一週間たらずで挙式、東京に上京する間はテンポよく進み、ユーモア溢れる雰囲気と温かさが心地良く、ずっと見入ってしまう。
NHK大河ドラマ「八重の桜」最終回は、「いつの日も花は咲く」。
このドラマの1年を振り返ると、会津の人々を中心に据え、幕末の苦悩を描いた前半部分は大変に素晴らしい出来で、人々の矜持と歴史のうねりに巻き込まれる人々の緊迫感を伝える見事な映像であった。
それが、明治になってからいきなり薄くなり、ホームドラマ風に流れてしまった。いったいこの変化はどうしてしまったのであろうか。
前半ではあまり目立たなかった綾瀬はるか演じる八重が、後半では俄然中心となり、鬱々とした表情をたたえたり、大きな声を出す場面が増えた。このような感情の起伏をそのまま前面に出すステレオタイプのドラマになってから、質は一気に落ちた感がある。西南戦争、自由民権運動、内閣制度発足、日清戦争など歴史的な出来事も描かれるが、物語として消化しきれておらず、散発的に紹介される一コマに終始していた。
山川浩、山川健次郎、大山捨松といった、山川家の人々のエピソードも挟まれていたが、前半の流れを引き継ぐには会津藩の人々の生き様をより丁寧に盛り込んで流れをつくれば、見応えもあったように思う。
縦横の糸がきれいに綾なされていた織物が、途中から横糸がなくなり、ばらばらと縦糸がなびく端布になったような印象である。
ドラマは脚本できまる。引き締まった構成感があり、最後まで見る側を惹き付ける大河ドラマを期待したい。
NHK100分de名著『アラビアンナイト』。当時の国際都市バグダッドを中心とした話が、幾層もの構造をもっていることを知り、その複雑さと多彩さに驚く。現代の多くの物語の種がここにある。
番組では、「背中にコブのある男」の切り絵風アニメーションに感銘を受ける。
NHK 100分 de 名著 『アラビアンナイト』 2013年 11月 [雑誌] (NHKテキスト)
NHK出版 日本放送協会
NHKの番組、100分 de 名著『古事記』では、軽妙なトークと雰囲気のあるアニメーションで日本神話のエッセンスが語られる。
物語によって森羅万象を象徴させる巧みさ、話の力強さを知り、語り告がれ残されるだけの価値があったことを実感させられる。
トルストイの「戦争と平和」を、当時の政治、文学の状況をふまえ解説している。
ロシアへのナポレオン侵攻に向き合う人々を通し、幸福とは何かというテーマを重層的に描いた作品の魅力を簡明に伝えるテキスト。
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