MAGI 天正遣欧少年使節 3

 「MAGI 天正遣欧少年使節」第3話は「煉獄のはじまり -ゴア篇-」。少年たちは、ゴアに着く。それまで主導していた宣教師がゴアにとどまることになり、他の宣教師が付き添うことになる。
 早くも前途の雲行きが怪しくなる展開。重厚な映像の内に、少年たちの不安ととまどいを描く回。

EPISODE 3 煉獄のはじまり -ゴア篇-

MAGI 天正遣欧少年使節 2

 「MAGI 天正遣欧少年使節」第2話は「東の果ての王 - 京都篇 -」。
 宣教師と4人の少年たちは、京都で信長に謁見し、日本から使節であるお墨付きを得る。
 悠揚とした信長を吉川晃司が好演している。少年たちとの謁見シーンや台詞が印象に残る。  

EPISODE 2 東の果ての王 - 京都篇 -

MAGI 天正遣欧少年使節 1

 戦国時代、日本から初めてヨーロッパに公式派遣された若者たちを描く歴史ドラマ「MAGI 天正遣欧少年使節」。
 第1話は「選ばれしものたち - 長崎篇 -」。ヴァチカンへの派遣を画策する宣教師と、それぞれ事情をもつ少年たちとの出会いを描く。
 16世紀末の日本とヨーロッパを舞台に描く骨太の歴史大作。

EPISODE 1 選ばれしものたち - 長崎篇 -

クライマーズ・ハイ

 1985年8月12日- この日、群馬県立万場高等学校で、就職希望者を対象にパソコン講座が開かれた。当時、まだ学校にコンピュータはそれほど普及しておらず、山懐に抱かれた普通科の高校で、生徒ひとりひとりがコンピュータに触れる機会はなかった。そこで、主に事務系を希望する3年生の生徒さんにコンピュータを体験させたいという思いで、企業からパソコンを借りて、6日間の日程で実習を行った。

 講座初日のこの日、自作したテキストに沿って生徒が夢中で取り組んでいる姿を見て、いい滑り出しになったことにたいへん気分を良くした。近くの教員宿舎に帰り、お酒を飲んでいると、サイレンの音やヘリコプターの飛ぶ音がやけに響き始めた。当時、教員となって1年目でテレビはおろかラジオすらもっていなかった。

 翌日、パソコン講座の会場にいくと、上野村からきている女子生徒さんたちが、昨日はたいへんだったねなどと話していた。「何がたいへんだったの?」と聞くと、「先生知らないの?昨日は飛行機が近くに落ちたので、お父さんたちもみんな山に行ったんだよ。」あわてて新聞を見て、墜落した航空機が524人を乗せていたことを知った。宿直室のテレビをつけると、一面緑の山中にできた傷痕、木々がなぎ倒され茶色い土と焦げた地面が見え、白煙のあがる墜落現場-御巣鷹の尾根が映しだされていた。

 この事故を新聞記者の立場で描いた「クライマーズ・ハイ」は、当時の世相や地元の様子を盛り込んでいることもあり、たいへん興味を持って読み進むことができた。

 新聞記事をめぐり、社内の確執が大小様々な形で起こる。しかも、新聞には「締切り」という、決断を下す刻限が毎日ある。そのため、独特の緊迫感を持った展開になっている。

 群馬県は、県境の半分が屹立した山である。自分にとって、山は身近なものであると同時に、憧れと安心、また時に畏怖の念を抱かせてくれ、乗り越えるべき対象の存在を象徴していた。クライマーズ・ハイは、そんな心象としての山も描かれており、救いのある読後感であった。

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

赤塚不二夫生誕80周年CD! これでいいのだーっ!!

 「おそ松くん」「ひみつのアッコちゃん」「もーれつア太郎」「天才バカボン」
 赤塚不二夫原作の漫画は何度もテレビアニメシリーズになっている。それぞれ時代のテイストを加えながら、キャラクターも微妙に変化している。しかし、赤塚漫画の本質である、価値観やルールにしばられない主人公たちの自由な生き方はどれも根底にもっている。そのギャグの普遍性ゆえに、時代を超えて赤塚作品が映像化されているのであろう。
 テレビアニメの音楽も、実に明るく楽しい。1966年の「おそ松くん」のオープニングからして、新鮮な躍動感がある。作詞は赤塚不二夫、作曲は渡辺浦人。群馬県立中央高等学校、現在の中央中等教育学校の校歌の作曲者でもある。
 そのご長男、渡辺岳夫はドラマやアニメの音楽に多大な足跡を残しており、「天才バカボン」の音楽も手がけている。天才バカボンのテーマ曲、それに続く「元祖天才バカボン」の「タリラリランのコニャニャチワ」「パパはやっぱりすばらしい」「元祖天才バカボンの春」などは氏の作曲である。
 1969年に放送開始されたアニメ「ひみつのアッコちゃん」のオープニングテーマは、小林亜星が作曲している。名曲ゆえに、1988年の第2作、1998年の第3作でもオープニングに用いられている。
 2015年に発売された赤塚不二夫生誕80周年CDでは、赤塚アニメを彩る音楽が一堂に集められ、あらためて作品の魅力を感じさせてくれる。自由闊達な赤塚ギャグを彷彿させる音楽は全肯定、「これでいいのだ」

赤塚不二夫生誕80周年CD! これでいいのだーっ!!

耳をすませば

 中学3年生の迷いや焦りを、みずみずしく描いたスタジオ・ジブリの作品。脚本とプロデュースを宮崎駿、監督を近藤喜文が担当。
 多摩地区の町並みなど、実に緻密に描かれている。細部の描写も見事で、特に地球屋の内部はそれだけで一つの世界になっている。ヴァイオリンの工房で、主人公たちが「カントリーロード」を合奏するシーンは、感動すら覚える極上の職人芸的アニメーション。

 「やってみて分かったんです。好きなだけじゃダメだって、 だから勉強しないといけない。だから進学する事に決めました。」
 これほど真面目な台詞がストレートに胸に響くことが、この映画の真価を表わしている。

耳をすませば [DVD]
本名陽子 高橋一生 露口茂 立花隆

銀の匙

「夢をもつということは同時に、現実との闘いを覚悟するということだと思うよ。」

 「銀の匙」は、荒川弘の漫画を原作とするアニメ。農業高校を舞台とした青春グラフィティ。
 受験に失敗し、家族から逃れるように大蝦夷農業高等学校に進学した八軒。志をもつ多くの仲間に引け目を感じながらも、自ら体験を重ね成長を遂げていく。
 農業に携わる人々に寄り添い、思いと現実を描く深みのあるアニメ。

1 エゾノ-へ、ようこそ

カラマーゾフの兄弟 (まんが学術文庫)

 ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を漫画化した作品。1860年代、農奴解放令が出されて間もないロシアを舞台に、地主フョードルの家族をめぐる物語。純真な心根をもち、神に仕える三男アリョーシャ、冷徹なインテリの次男イワン、奔放で一本気な元軍人の長男ミーチャの三兄弟を軸に、様々な人物がからむ群像劇。その言動の内に、人々の生きる意味や神の存在が問いかけられる。 
 長大な原作は、大学のときに読みかなりの期間、おそらく2ヶ月以上がかかった。しかし、漫画ではほんのわずかな時間で読めてしまう。しかし、読後感はそれほど変わらないように感じた。エッセンスがうまく詰め込まれているからであろう。
 新進気鋭の漫画家、岩下博美が、原作をじっくりと読み込み、物語を焦点化し、見事な画力で絵にしている。怒濤の展開が当時の空気感を伴って劇画化され、極めて密度の濃い作品となっている。
 カラマーゾフの世界を圧巻の迫力で活写する力作。

カラマーゾフの兄弟 (まんが学術文庫)
岩下博美

罪と罰 (まんが学術文庫)

 ドストエフスキー『罪と罰』を原作とする漫画。1865年、帝政ロシアの首都で暮らす学生、ラスコーリニコフは、自らの理論に基づき、老婆を襲い金品を奪うことを決意する。
 岩下博美氏は、原作を咀嚼し、物語のエッセンスを趣のある絵柄で描いている。登場人物の個性も良く表出され、人間関係や心理がスリリングな展開をもって迫ってくる。背景となるサンクトペテルブルクの描写も良く、当時の雰囲気を彷彿とさせる。
 原作の本質に肉薄した力作。

罪と罰 (まんが学術文庫)
岩下博美

プラグマティズム (まんが学術文庫)

 アメリカを支える思想のひとつ、プラグマティズムを、開拓時代の西部を舞台としたストーリーで描く漫画。主人公の行動や、周囲に語る言葉から、実践に基づく行動哲学を実に分かりやすく伝えている。
 ガンマンたちの乱舞する西部劇として、一級のエンターテイメントに仕上げた教養コミック。

プラグマティズム (まんが学術文庫)
岩下博美

アクセスランキング

Ajax Amazon

  • Amazon.co.jpアソシエイト
  • UserLocal
  • Ajax Amazon
    with Ajax Amazon